アートの聖書

美術館巡りの日々を告白。美術より美術館のファン。

フランス・ハルス《笑う少年》〜笑いは400年を超える、時間を超えて届く生命の声

原題:Lachende jongen(オランダ語) 英題:Laughing Boy 作者:フランス・ハルス 制作:1625年頃 寸法:直径30.45cm(円形画) 技法:カンヴァス、油彩 所蔵:マウリッツハイス王立美術館(オランダ) レンブラント、フェルメールと共にオランダ黄金時代の…

パブロ・ピカソ《ボンボン帽子と柄ブラウスを着た女の肖像》〜ひとつの顔に、ふたつの温度

英題:Woman in a Hat with Pompoms and a Printed Blouse 作者:パブロ・ピカソ 制作:1962年 寸法:62.9 x 53 cm 技法:リノリウム版画 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) 80歳を過ぎたピカソが描いた晩年の版画。1958年ごろから熱心に版画に取り組…

パブロ・ピカソ《室内のフクロウ》〜閉じた部屋にいる小さな夜

原題:Hibou à l'intérieur 作者:パブロ・ピカソ 制作:1946年 寸法:81×100cm 技法:板 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) 長い戦争が終わり、1940年代後半にピカソは、南仏のヴァロリスに移り住む。ピカソといえば、鳩を愛したことで有名だが、フク…

パブロ・ピカソの代表作・有名絵画の傑作選〜20世紀のアートを変えた革命家

パブロ・ピカソ(1881–1973)は、スペインが生んだ20世紀最大の芸術家にして、美術の歴史を塗り替えた革命家。 青の時代、バラ色の時代、キュビスム、新古典主義、シュルレアリスム。 そのどれにも囚われることなく、あらゆる表現を行き来しながら、新たなア…

パブロ・ピカソ《トラックの玩具で遊ぶ子ども》〜子どもというジャングル、おもちゃと原始の生命

英題:Child Playing with a Toy Truck 作者:パブロ・ピカソ 制作:1953年 寸法:130x96.5cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) ピカソが72歳になる1953年に描かれた晩年の作品。ピカソは70歳を過ぎてから、「子どものよう…

ゴッホ《ドービニーの庭》〜緑に遺された永遠、風が書いた楽譜

仏題:Le Jardin de Daubigny 蘭題:De tuin van Daubigny 邦題:ドービニーの庭 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1890年7月 寸法:53 x 103 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ひろしま美術館(広島) ゴッホが終焉の地・オーヴェルで描いた一枚。…

ゴッホ《タンギー爺さん》〜背景に魂を、麦わら帽に祈りを

原題:Le Père Tanguy(フランス語) 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1887年夏(パリ時代) 寸法:92 cm × 75 cm 所蔵:ロダン美術館(フランス) 世界で最も有名な「おじいさん」の肖像画。誰も会ったことがないのに、誰もが親しみを持つ。テオ…

パブロ・ピカソ《アルルカンに扮したパウロ》〜まだ地上に届かない足で、子どもは世界を見ている

原題:Paul en Arlequin 作者:パブロ・ピカソ 制作:1924年 寸法:130x97.5cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) ピカソが「新古典主義の時代」に描いた、息子パウロの絵画。1921年、ピカソの最初の妻オルガ・コクローヴァ…

パブロ・ピカソ《女の胸像(「アヴィニョンの娘たち」のための習作)》〜未完成なのに、だから妙に生きている

原題:Buste de femme (étude pour "Les Demoiselles d'Avignon") 作者:パブロ・ピカソ 制作:1907年 寸法:58.5 x 46.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) ピカソがピカソになった記念碑であり、キュビズム(立体派)の黎…

レオナルド・ダ・ヴィンチ《ラ・ベル・フェロニエール》(ミラノの貴婦人の肖像)、母性と愛人のあいだ

原題:La Belle Ferronnière(フランス語) 別題:ミラノの貴婦人の肖像 別題:美しきフェロニエール 作者:レオナルド・ダ・ヴィンチ 制作:1490年-1496年 寸法:62 cm × 44 cm 技法:板に油彩 所蔵: ルーヴル美術館(フランス) レオナルド・ダ・ヴィンチ…

パブロ・ピカソ《読書》〜本を開いたら、人間がバラバラになった

原題:La Lecture 作者:パブロ・ピカソ 制作:1932年 寸法:130 x 97.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) 当時50代前半だったピカソが「シュルレアリスムの時代」に描いた一枚。モデルは22歳の愛人マリー=テレーズ・ワル…

ピカソ《夢》〜紫の静寂に宿るもの、六本目の指と、見えない命

原題:Le Rêve(The Dream in French) 作者:パブロ・ピカソ 制作:1932年 寸法:130×97cm 技法:油彩 所蔵:個人蔵 ピカソが50歳前後、「シュルレアリスムの時代」に描いた一枚。モデルは22歳の愛人マリー=テレーズ・ワルテールといわれる。多くの美術史…

ピカソ『青の時代』〜静寂の深海に潜む光、ブルー・ピカソが描いた青の宇宙

10万点を超える芸術作品を生み出したパブロ・ピカソの絵画のなかで「最も美しいページ」と称されるのが「青の時代」、いわゆる「ブルー・ピカソ」である。 ピカソの「青の時代」は、「ブルー・ピリオド」または「ブルー・ピカソ」とも呼ばれ、1901年から1904…

ゴッホ《麦わら帽子の自画像》〜太陽をかぶった孤独、麦わら帽子の下の青い沈黙

英題:Self-Portrait with Straw Hat 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1​​887年7月~8月 寸法:41.8 cm x 31.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) ゴッホがパリに移住して約1年後、1887年の7月か8月に描いた自画像。ゴッ…

ジョルジュ・スーラの軌跡、代表作〜点描が紡ぐ祝祭と静寂

ジョルジュ・スーラ(1859-1891)は、19世紀後半のフランスにおいて、新印象派(ネオ・インプレッショニズム)の旗手として活躍した画家。光と色彩を科学的に構築する「点描」の技法で知られる。スーラ自身は点描と言われるのを嫌い「色彩光線主義」と呼んで…

「フェルメール真珠の耳飾りの少女展」〜世界が見に行く一枚が大阪へ、フェルメール最大のスター来日

2026年8月21日〜9月27日、大阪中之島美術館に《真珠の耳飾りの少女》が来る。約120万人を動員した2012年「マウリッツハイス美術館展」以来、14年ぶりの再来日。これで《真珠の耳飾りの少女》は、1984年に国立西洋美術館、2000年に大阪市立美術館、2012年に東…

ゴッホ《点描の自画像》〜神経まで見える、点描自画像のざわめく迫力

英題:Self-Portrait 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1​​887年 寸法:41 × 32.5 cm 技法:油彩、画板 所蔵:シカゴ美術館(アメリカ) ゴッホが新印象派に影響を受けて描いた点描画の自画像。緑、青、赤、オレンジといった色の粒子で構成されてい…

ゴッホ《ブルジョワとしての自画像》〜冷たい壁に閉じ込められた、青い溶岩

英題:Self-Portrait 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1​​887年夏 寸法:19cm×14.1cm 技法:油彩、厚紙 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) ゴッホの中でも最小サイズの自画像のひとつ。カンヴァスではなく、厚紙に描かれているが、上品なスーツとフ…

ゴッホ《グラスを持つ自画像》〜暗いのに熱い、くすぶる男の肖像

英題:Self-Portrait with Glass 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1​​887年1月 寸法:61.1 cm x 50.2 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) グラスに注がれた飲み物を片手に座っている自画像。テオのアパートなのか、友人宅…

ゴッホ《最も小さい自画像》〜灰色の中で、目だけが生きている

英題:self-portrait 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1​​887 年3月~6月 寸法:19.1cm×14.1cm 技法:油彩、厚紙 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) 安価な厚紙に描かれたスケッチのような自画像。ゴッホの油絵のなかで最も小さいサイズの作品のひと…

マウリッツハイス王立美術館〜フェルメールとレンブラント、オランダ黄金時代、デン・ハーグの宝箱

マウリッツハイス王立美術館はオランダのデン・ハーグにある美の宝庫。フェルメール《真珠の耳飾りの少女》をはじめ、17世紀のオランダ黄金時代の絵画を数多く所蔵する。正式名称はマウリッツハウス王立美術館(オランダ語: Koninklijk Kabinet van Schilder…

フェルメール《デルフトの眺望》〜故郷に捧げた、空と水のラブレター

原題:Gezicht op Delft(オランダ語) 英題:View of Delft 邦題:デルフトの眺望 作者:ヨハネス・フェルメール 制作:1660年 - 1661年頃 寸法: 96.5 cm × 115.7 cm 所蔵:マウリッツハイス王立美術館(オランダ) フェルメールの最高傑作にして、最も好…

ヨハネス・フェルメールの生涯と全作品35枚〜静謐な光を描いた“デルフトの真珠”

17世紀オランダが生んだ、静謐と光の画家、ヨハネス・フェルメール(1632–1675)。 レンブラント、フランス・ハルスと並び「オランダ黄金時代」の三大画家のひとりに数えられるが、同時代の巨匠たちと異なり、約20年の画業で残した作品は極端に少ない。 現存…

ゴッホ《夜のカフェテラス》〜夜明けを待つ夜光浴、世界はカフェから始まる

原題:Place du Forum(フランス語) 英題:Terrace of a Café at Night 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年9月16日 寸法:80.7 × 65.3 cm 所蔵:クレラー・ミュラー美術館(オランダ) ゴッホの代表作の中でも、《ひまわり》《星月夜》と並び…

ゴッホ《ジャケットの自画像》〜愛想ゼロ、迫力は満点、青い闇の中で燃えている

英題:self-portrait 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1887年7月~8月 寸法:42.2cm×34.5cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) ゴッホが弟のテオを頼ってパリに来た翌年の夏に描かれた自画像。フォーマルなジャケットは珍し…

ゴッホ《冬の自画像》〜剥き出しの気迫、自信ではなく覚悟を描く

英題:Self-Portrait, Winter 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1886年冬(1887年) 寸法:40.0cm × 約33.9cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ワズワース・アテネウム美術館(アメリカ) ゴッホが弟のテオを頼ってパリに来た1886年の終わりか、1887…

フェルメール《真珠の耳飾りの少女》〜ターバンの青、唇の赤、振り向いた宇宙

原題:Het meisje met de parel(オランダ語) 英題:Girl with a Pearl Earring 別題:青いターバンの少女 作者:ヨハネス・フェルメール 制作:1665年頃 寸法: 44.5 cm × 39 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:マウリッツハイス王立美術館(オランダ) 《…

アンリ・マティス《ダンス》孤独と共生の哲学、未完成な輪の詩学

原題:La Danse 作者:アンリ・マティス 制作:1910年 寸法:260 cm × 391 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:エルミタージュ美術館(ロシア) ロシア人の実業家セルゲイ・シチューキンが自宅の階段に飾る装飾画としてマティスに依頼した作品。現在は、ロシア…

ゴッホ《秋の自画像》〜赤い髭だけが、まだ燃えている

別題:Self-Portrait, Autumn 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1886年秋(1887年) 寸法:45.0cm×35.5cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:デン・ハーグ市美術館(オランダ) 1886年3月1日、ゴッホは夜行列車に乗って弟テオのもとへ向かった。勝手に…

ゴッホ《パイプを燻らせる自画像》〜消えない孤独、煙草と絵具と、しぶとい生命力

別題:Selbstbildnis mit Pfeife 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1886年3月〜6月 寸法:27.2cm×19cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) ゴッホがパリに来て間もなく描いた自画像のひとつ。印象派の影響を受け、もっと明るい…