アートの聖書

美術館巡りの日々を告白。美術より美術館のファン。

府中市美術館〜アルフォンス・ミュシャの囁き

府中市美術館

東京都の府中市美術館は2010年10月の開館。2000点ほどの収蔵品の中から常設展示を行い、その多くが日本の絵画。市制施行70周年を記念して『アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界』が2024年9月21日から12月1日まで開かれた。

府中市美術館〜アルフォンス・ミュシャの囁き

府中駅から徒歩20分。閑静な住宅街を抜け、府中市民公園の中に美術館はある。

府中市美術館〜アルフォンス・ミュシャの囁き

建物はシンプルで無理なアート感がない。時折、中に入りにくい雰囲気を出す美術館もあるが、府中市美術館はアートを地元に開放している。

府中市美術館〜アルフォンス・ミュシャの囁き

看板や壁などにミュシャの装飾。諸手を挙げて歓迎してくれる。

府中市美術館〜アルフォンス・ミュシャの囁き

ミュシャ展は料金1000円。その金額で常設展示も観られる。

府中市美術館〜アルフォンス・ミュシャの囁き

グッズショップも鮮やかなフレッシュグリーン。女性に人気のミュシャに合わせた色調。

府中市美術館〜アルフォンス・ミュシャの囁き

残念ながら展示はすべて撮影禁止。初期作の《ジスモンダ》から、《四季》の連作、最高傑作である大阪中之島美術館が所蔵する《ダンス》など、かなり贅沢な展示。ミュシャの作品はどれも洗練されている。洗練は美であり、同時に平凡にもなってしまう。グラフィックデザインにアートを感じないのはそのためだ。なめからであることは、引っかかりがないこと。流動食のように滑る落ちる。しかし、ミュシャは視覚を潤すだけでなく、絵と対話してしまう囁きが聞こえる。《ダンス》については来年に出版するアート本の中で、史上最高のダンス絵画の候補として、ドガ、マティスと三つ巴したいほど。

美術館メシ

府中市美術館〜アルフォンス・ミュシャの囁き

1階にある府中乃森珈琲店。府中市美術館のミュージアム・カフェ。

府中市美術館〜アルフォンス・ミュシャの囁き

外からの陽光が差し込み、木々の温もりがやさしい。外のテラス席で食事もできる。

府中市美術館〜アルフォンス・ミュシャの囁き

ミュシャにあやかったチェコ料理「パプリカクリームチキン」2,000円。母親のような優しさ、ジェントルマンな口当たり。日本料理にはないボヘミアン・ラプソディな味わい。貧しい金欠でも、ミュシャの作品のように心を優雅に奏でてくれる。