アートの聖書

美術館巡りの日々を告白。美術より美術館のファン。

いちまいの絵

パブロ・ピカソ《女あるいは水夫の胸像(「アヴィニョンの娘たち」のための習作)》〜仮面の奥に、血の温度が残っている

英題:Bust of a woman or a Sailor (study for Les Demoiselles d'Avignon") 作者:パブロ・ピカソ 制作:1907年 寸法:53.5 x 36.2 cm 技法:油彩、厚紙 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) ピカソがピカソになった記念碑であり、キュビズム(立体派…

《アヴィニョンの娘たち》〜ピカソが召喚した五次元エル・ドラド、世界の裂け目がこちらを見ている

原題:Les Demoiselles d'Avignon 作者:パブロ・ピカソ 制作:1907年 寸法:243.9x233.7cm 技法:油彩,カンヴァス 所蔵:ニューヨーク近代美術館 ピカソがピカソになった記念碑。アフリカ美術の時代、そしてキュビズム(立体派)の黎明を告げる作品として…

ゴッホ《新印象派の自画像》〜青い火花と、赤い沈黙、皮膚ではなく、神経を描いた顔

英題:Self-Portrait 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1​​887年3 月~6月 寸法:41cm×33cm 技法:油彩、厚紙 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) ゴッホがパリに来て1年後に描かれた自画像。新印象派のスタイルを用い、短く粗い筆致で描いている。背…

ドービニー《アルクの谷》〜草と水と光が、同じ時間を生きている

原題:La Vallée de l'Arques 作者:シャルル=フランソワ・ドービニー 制作:1875年 寸法:39×67cm 技法:油彩、板 所蔵:オルセー美術館 戸外制作を好み、特に水辺の風景を愛したことから「水辺の画家」と称されたシャルル=フランソワ・ドービニーの晩年…

ゴッホ《チューリップ畑》〜曇り空の下でも、花は咲く

英題:Bulb Fields 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1883年4月 寸法:48 cm × 65 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ワシントン・ナショナル・ギャラリー(米国) ゴッホが花の絵を描いた最初期の作品と思われる一枚。タイトルは、『球根畑』(別名…

アンリ・マティス《金魚》〜心の二つの海、水槽の中にある、小さな楽園

英題:Gold fish 作者:アンリ・マティス 制作:1912年 寸法:146 cm x 97 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:プーシキン美術館(ロシア) マティスが42歳で描いた一枚。マティスは金魚を愛し、少なくとも9枚以上の「金魚画」を描き、素描や版画にも金魚が登…

ゴッホ《跳ね橋》〜橋も人も川も、午後を急がない、アルルを渡る、ゆるやかな時間

英題:Langlois Bridge at Arles 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年5月 寸法:49.5 cm × 64.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ヴァルラフ・リヒャルツ美術館(ドイツ) ドイツのケルンにあるヴァルラフ・リヒャルツ美術館の《アルルの跳ね…

ゴッホ《ラングロワ橋》〜色が爆発する前の、深呼吸するアルル

英題:The Langlois Bridge 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年3月 寸法:59.6 cm x 73.6 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) アムステルダムにあるゴッホ美術館の《アルルの跳ね橋》。クレラー・ミュラー美術館にある…

ゴッホ《モンマルトルの風車》〜風を待つ、ひとりぼっちの風車

英題:Windmills on Montmartre 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1886年 寸法:48.2×39.5cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:アーティゾン美術館(東京) ゴッホは1886年3月1日、夜行列車に乗って弟テオのもとへ向かう。勝手にアパートに転がり込み…

ゴッホ《夏、麦わら帽子の自画像》〜太陽をかぶっても、心は晴れない

英題:Self-Portrait with Straw Hat, Summer 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1​​887年 寸法:34.9 × 26.7 cm 技法:油彩、厚紙 所蔵:デトロイト美術館(アメリカ) パリ2年目の夏、厚紙に描いた自画像。力強いが寂しげな眼をしている。デトロイ…

クロード・モネ《ノルマンディーの農場》〜池に映る、失われていく暮らし

英題:Farmyard in Normandy 作者:クロード・モネ 制作:1863年 寸法:65×81.3 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館 モネが23歳の頃に描いた初期の作品。「ノルマンディーのバルビゾン」と呼ばれたサン=シメオン農場の風景を、落ち着いた構図…

パブロ・ピカソ《母と子ども》〜赤い顔に宿る、母という重さ

英題:mother and child 作者:パブロ・ピカソ 制作:1907年 寸法:81×60cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) ピカソが画風を変え、「バラ色の時代」から「アフリカ彫刻の時代」に入る1907年の夏に描かれた一枚。誰を描いたの…

ゴッホ《麦わら帽子とパイプを身につけた自画像》〜太陽の帽子と、醒めたまなざし

英題:Self-Portrait with Straw Hat and Pipe 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1​​887年7月~8月 寸法:42.5 cm x 32.1 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) 夏の日、ゴッホが絵の制作をするときの「制服」の自画像。画家…

クロード・モネ《税関吏の小屋、午後の効果》〜世界の端に立つ、小さな孤独

英題:Customs Hut, Afternoon Effect 作者:クロード・モネ 制作:1882年 寸法:80 cm × 54.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ドゥアーヌ美術館(オルセー美術館からの寄託) モネがディエップ近郊の小さな村、プールヴィルに滞在していた1882年に描かれ…

エドワード・ホッパー《ナイトホークス》〜蛍光灯の神話、光は誰のものか

原題:Nighthawks 作者:エドワード・ホッパー 制作: 1942年 寸法:84.1 cm × 152.4 cm 所蔵: シカゴ美術館(アメリカ) エドワード・ホッパーがニューヨークのマンハッタンにあるダイナーをイメージして描いた油絵。アメリカ美術で最も有名な一枚のひとつ…

《鳥獣人物戯画》〜余白が走り出す墨絵のアニメーション、かわいい動物たちの、危険なレジスタンス

英題:Scrolls of Frolicking Animals and Humans 作者:不明 制作:12〜13世紀 寸法:44m(4巻) 技法:絵巻物、墨絵 所蔵:栂尾山 高山寺(京都) 鳥獣人物戯画(ちょうじゅうじんぶつぎが、通称:鳥獣戯画)は、京都の栂尾山 高山寺に伝わる国宝の絵巻物…

ピカソ《コリーダ:闘牛士の死》〜筆はピカドールの槍、レイジング・ブルと白い運命

原題:Corrida : la mort du torero 英題:Bullfight:The Death ob the Torero 作者:パブロ・ピカソ 制作:1933年9月19日 寸法:31 × 40 cm 技法:油彩,木板 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) 10万点を超える芸術作品を生み出したといわれるパブロ…

ゴッホ《糸杉のある麦畑》〜世界が大きすぎるという幸福な胸騒ぎ

英題:Wheat Field with Cypresses 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1889年7月 寸法:73cm × 93.4cm 所蔵:メトロポリタン美術館(ニューヨーク) 黄金色に熟した小麦畑、右側に緑のオベリスクのようにそびえ立つ暗い円錐形の糸杉、中景に明るい緑…

ゴッホ《永遠の門(悲しむ老人)》〜顔のない肖像に、人生がある

蘭題:Treurende oude man 英題:Sorrowing Old Man 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1890年5月 寸法:81.8 × 65.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:クレラー・ミュラー美術館(オランダ) 《永遠の門(悲しむ老人)》は、ゴッホが1890年5月、フ…

フランス・ハルス《笑う少年》〜笑いは400年を超える、時間を超えて届く生命の声

原題:Lachende jongen(オランダ語) 英題:Laughing Boy 作者:フランス・ハルス 制作:1625年頃 寸法:直径30.45cm(円形画) 技法:カンヴァス、油彩 所蔵:マウリッツハイス王立美術館(オランダ) レンブラント、フェルメールと共にオランダ黄金時代の…

パブロ・ピカソ《ボンボン帽子と柄ブラウスを着た女の肖像》〜ひとつの顔に、ふたつの温度

英題:Woman in a Hat with Pompoms and a Printed Blouse 作者:パブロ・ピカソ 制作:1962年 寸法:62.9 x 53 cm 技法:リノリウム版画 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) 80歳を過ぎたピカソが描いた晩年の版画。1958年ごろから熱心に版画に取り組…

パブロ・ピカソ《室内のフクロウ》〜閉じた部屋にいる小さな夜

原題:Hibou à l'intérieur 作者:パブロ・ピカソ 制作:1946年 寸法:81×100cm 技法:板 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) 長い戦争が終わり、1940年代後半にピカソは、南仏のヴァロリスに移り住む。ピカソといえば、鳩を愛したことで有名だが、フク…

パブロ・ピカソ《トラックの玩具で遊ぶ子ども》〜子どもというジャングル、おもちゃと原始の生命

英題:Child Playing with a Toy Truck 作者:パブロ・ピカソ 制作:1953年 寸法:130x96.5cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) ピカソが72歳になる1953年に描かれた晩年の作品。ピカソは70歳を過ぎてから、「子どものよう…

ゴッホ《ドービニーの庭》〜緑に遺された永遠、風が書いた楽譜

仏題:Le Jardin de Daubigny 蘭題:De tuin van Daubigny 邦題:ドービニーの庭 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1890年7月 寸法:53 x 103 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ひろしま美術館(広島) ゴッホが終焉の地・オーヴェルで描いた一枚。…

ゴッホ《タンギー爺さん》〜背景に魂を、麦わら帽に祈りを

原題:Le Père Tanguy(フランス語) 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1887年夏(パリ時代) 寸法:92 cm × 75 cm 所蔵:ロダン美術館(フランス) 世界で最も有名な「おじいさん」の肖像画。誰も会ったことがないのに、誰もが親しみを持つ。テオ…

パブロ・ピカソ《アルルカンに扮したパウロ》〜まだ地上に届かない足で、子どもは世界を見ている

原題:Paul en Arlequin 作者:パブロ・ピカソ 制作:1924年 寸法:130x97.5cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) ピカソが「新古典主義の時代」に描いた、息子パウロの絵画。1921年、ピカソの最初の妻オルガ・コクローヴァ…

パブロ・ピカソ《女の胸像(「アヴィニョンの娘たち」のための習作)》〜未完成なのに、だから妙に生きている

原題:Buste de femme (étude pour "Les Demoiselles d'Avignon") 作者:パブロ・ピカソ 制作:1907年 寸法:58.5 x 46.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) ピカソがピカソになった記念碑であり、キュビズム(立体派)の黎…

レオナルド・ダ・ヴィンチ《美しきフェロニエール》(ミラノの貴婦人の肖像)、母性と愛人のあいだ

原題:La Belle Ferronnière(フランス語) 邦題:《ラ・ベル・フェロニエール》 別題:ミラノの貴婦人の肖像 別題:美しきフェロニエール 作者:レオナルド・ダ・ヴィンチ 制作:1490年-1496年 寸法:62 cm × 44 cm 技法:板に油彩 所蔵: ルーヴル美術館(…

パブロ・ピカソ《読書》〜本を開いたら、人間がバラバラになった

原題:La Lecture 作者:パブロ・ピカソ 制作:1932年 寸法:130 x 97.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) 当時50代前半だったピカソが「シュルレアリスムの時代」に描いた一枚。モデルは22歳の愛人マリー=テレーズ・ワル…

ピカソ《夢》〜紫の静寂に宿るもの、六本目の指と、見えない命

原題:Le Rêve(The Dream in French) 作者:パブロ・ピカソ 制作:1932年 寸法:130×97cm 技法:油彩 所蔵:個人蔵 ピカソが50歳前後、「シュルレアリスムの時代」に描いた一枚。モデルは22歳の愛人マリー=テレーズ・ワルテールといわれる。多くの美術史…