アートの聖書

美術館巡りの日々を告白。美術より美術館のファン。

いちまいの絵

クロード・モネ《ヴェトゥイユのセーヌ川》〜何も起きない時間が、こんなに美しい

原題:La Seine à Vétheuil 作者:クロード・モネ 制作:1879〜1880年 寸法:43.5 × 70.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) ヴェトゥイユは、モネが過ごしたジヴェルニーから50キロほどにあるセーヌ川沿いの小さな町。モネは1878年に家…

クロード・モネ《ポール=ヴィレのセーヌ川》〜夏の体温、記憶の夏は、こんな色をしている

原題:La Seine à Port-Villez (Yvelines) 作者:クロード・モネ 制作:1883年 寸法:65.5 × 92.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) 1883年にジヴェルニーに定住した後、モネが最初に描いた絵の題材は、セーヌ川右岸の対岸にあるポー…

クロード・モネ《石炭の積み下ろし》〜生活の匂いと、夢の入口、泥と光のあいだで、物語が始まる

原題:Les Déchargeurs de charbon 作者:クロード・モネ 制作:1875年 寸法:54 × 65.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) モネは1871年から1878年までパリ北西のセーヌ川沿いの町アルジャントゥイユに住み、頻繁に列車でパリへ出か…

クロード・モネ《ジヴェルニー近郊のセーヌ川の支流》〜印象派が行き着いた、戻れない静けさ

原題:Bras de Seine près de Giverny 作者:クロード・モネ 制作:1897年 寸法:73.2 x 93 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) モネは1897年から《睡蓮》の連作とともに、セーヌ川の朝の絵も描き始めた。モネが睡蓮の池を作成したエプ…

クロード・モネ《ルーアン大聖堂、正面入り口、朝の太陽》〜石が光に溶けるとき、揺れているのは、世界のほうだった

原題:Cathédrale de Rouen,le portail,soleil matinal harmonie bleue 作者:クロード・モネ 制作:1893年 寸法:92.2 x 63 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) モネは52歳になった1892年から1年間のフランス・ルーアンの滞在中に"石…

クロード・モネ《ロンドン国会議事堂、霧の中に差す陽光》〜霧と光の魔法、ぼやけているから美しい

原題:Londres, le Parlement. Trouée de soleil dans le brouillard 作者:クロード・モネ 制作:1904年 寸法:81.5 x 92.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) 1899年から1901年にかけて、モネは3回ロンドンを訪れ、それぞれ数週間ず…

クロード・モネ《雪中の家とコルサース山》〜自由の手前で、足が止まる、雪山と山村の静謐

原題:Maisons dans la neige et mont Kolsaas 英題:Houses in the Snow and Mount Kolsaas 作者:クロード・モネ 制作:1895年 寸法:64.2x91.2 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:上原美術館(静岡) 1895年2月から2ヶ月の間、モネは義理の息子を訪ねてノ…

クロード・モネ《黄昏、ヴェネツィア》〜青い余韻が残る、最後の旅の夕暮れ

英題:Twilight,Venice 作者:クロード・モネ 制作:1908年 寸法:73x92 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:アーティゾン美術館(東京) イタリア・ヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会が、水と溶け合うように夕陽に包まれている一枚。 モネ夫…

パブロ・ピカソ《初聖体拝領者たち》〜静けさの中で、呼吸だけが止まっている

原題:Les Premiers Communiants 作者:パブロ・ピカソ 制作:1919年 寸法:100 x 81 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) 1919年、ピカソの「新古典主義の時代」に描いた一枚。 初聖体拝領(はつせいたいはいりょう)は、カ…

クロード・モネ《モネの庭の小道、ジヴェルニー》〜咲きすぎた楽園の入口、戻れない小道の光

英題:A Pathway in Monet's Garden, Giverny 作者:クロード・モネ 制作:1902年 寸法:89x92 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オーストリア美術館 モネは晩年、ジヴェルニーの水の庭と睡蓮を描いた作品に長年没頭した。1890年末までに、モネは絵画の売上…

ゴッホ《タンギー爺さん》背景に魂を、麦わら帽に祈りを

原題:Le Père Tanguy(フランス語) 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1887年夏(パリ時代) 寸法:92 cm × 75 cm 所蔵:ロダン美術館(フランス) 世界で最も有名な「おじいさん」の肖像画。誰も会ったことがないのに、誰もが親しみを持つ。テオ…

エドガー・ドガ《エトワール》〜観ているあなたが舞台にいる

英題:Ballet 作者:エドガー・ドガ 制作:1876-1877年 寸法:58.4cm × 42cm 技法:モノタイプ(版画)、パステル 所蔵:オルセー美術館(パリ) 《舞台の踊り子》《踊りの花形》とも呼ばれる一枚。「エトワール」とは「星」、「主役」、「花形スター」の意…

クロード・モネ《ジヴェルニーのモネの庭》〜自然を"作る"という発明、やりすぎた庭が、いちばん美しい

原題:Der Garten des Künstlers in Giverny 英題:The Artist's Garden at Giverny 作者:クロード・モネ 制作:1900年 寸法:81.6 x 92.6 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) 還暦を迎えたモネが、1883年から自ら植え替えを続けてき…

クロード・モネ《ノルウェー型の舟で》〜日陰のラグジュアリー、水面の下に、もうひとつの世界がある

原題:In the Norvegienne Boat at Giverny 別題:《舟遊び(ノルヴェジエンヌ号で)》 作者:クロード・モネ 制作:1887年 寸法:97.5 x 130.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) モネが暮らすジヴェルニー近くのセーヌ川の支流エプ…

ゴッホ《ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋》〜完璧に“何もない”という贅沢、急がない風景の正しさ

作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年 寸法:46.8 x 51.3 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ポーラ美術館(箱根) アルルの南側のヴィゲラ運河のグレーズ橋の日常を描いたもの。有名な《アルルの跳ね橋》は、ラングロワ橋で別。アルルの跳ね橋と…

歌川広重《名所江戸百景 する賀てふ》〜奇跡が日常だった街、誰も見ない富士山が、いちばん大きい

作者:歌川広重 制作:安政3年(1856年) 寸法:37.0×24.8cm 技法:錦絵 幕末の浮世絵師・歌川広重(初代)が最晩年の1856年から1858年にかけて制作した、江戸の景勝地を描いた連作錦絵(風景画)の『名所江戸百景』 118図の中でも特に好きな一枚が《する賀…

ゴッホ《ばら》〜美しくないから美しい、きれいじゃない薔薇のほうが刺さる

作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1889年 寸法:33 x 41.3 cm 所蔵:国立西洋美術館 原田マハ《常設展示室》にも登場する一枚。少し筆が死んでいるが、そこに味が出ている。地面の緑は濁流の川、ばらの花はゴッホの涙。荒れた地面に咲く薔薇を、ゴ…

ゴッホ《草むら》〜世界は、ここまで近づける、足元にひろがる、無限のざわめき

作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1889年4月 寸法:45.1 x 48.8 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ポーラ美術館(箱根) アルルでの耳切り事件後、サン=レミのサン=ポール精神療養院の病室の窓から見た草むらを描いたもの。 シンプルなものにゴッ…

ゴッホ《一日の終わり》〜終わりきらない終わり、黄昏に残された余韻

作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1889~90年 寸法:72.0 ×94.0 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:メナード美術館(愛知) サン=レミの精神病院で描いた尊敬するフランソワ・ミレーの模写。うねる麦畑と激しく波打つ空。黄昏と黎明、夕暮れであり…

ゴッホ《サン=レミの道》〜揺れる道の、その先へ、まっすぐじゃないから、生きている

作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1890年 寸法:33.5 x 41.2cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:笠間日動美術館(茨城) 南仏のような明るさ。描き殴っているのに、デリケート。明るい色彩が泳いでいる。視界はボヤけ、希望も見えない。それでも目の…

パブロ・ピカソ《男の肖像》〜青に沈む男、感情が壊れる0.1秒前

原題:L’Homme en bleu 英題:PORTRAIT OF MAN [MAN IN BLUE] 別題:青い服を着た男 作者:パブロ・ピカソ 制作:1902-03年 寸法:93 x 78 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス) ピカソが1901年から1904年までの時代に描いた「…

クロード・モネ《死の床のカミーユ》〜涙より先に色を見てしまった画家

原題:Camille sur son lit de mort 作者:クロード・モネ 制作:1879年 寸法:90 x 68 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) 1879年9月5日、クロード・モネは、32歳で亡くなった妻カミーユの最期の姿を描いた。ゴーギャンやピカソもまた…

マリア・ファン・オーステルウェイク《装飾的な壺の花》〜一夜限りのフラワー・フェス、リボンが揺れ、運命が揺れる

英題:Flowers in an Ornamental Vase 作者:マリア・ファン・オーステルウェイク 制作:1670年 - 1675年頃 寸法:62.0×47.5 cm 技法:カンヴァス、油彩 所蔵:マウリッツハイス王立美術館(オランダ) 17世紀オランダ黄金時代のマリア・ファン・オーステル…

パウルス・ポッテル《水に映る牛》〜牛オールスターズ、夏の叙事詩

英題:Cows Reflected in the Water 作者:パウルス・ポッテル 制作:1648年 寸法:43.4×61.3 cm 技法:板、油彩 所蔵:マウリッツハイス王立美術館(オランダ) 輝かしい夏の日を描いています。人々は水遊びを楽しんでおり、牛たちはそれを見守りながら、日…

アンリ・マティス《ダンス》孤独と共生の哲学、未完成な輪の詩学

原題:La Danse 作者:アンリ・マティス 制作:1910年 寸法:260 cm × 391 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:エルミタージュ美術館(ロシア) ロシア人の実業家セルゲイ・シチューキンが自宅の階段に飾る装飾画としてマティスに依頼した作品。現在は、ロシア…

ヤン・ステーン《老いが歌えば若きが笛吹く》〜親という名のインフルエンサー、その歌、次の世代まで届いています

英題:As the Old Sing, So Pipe the Young 作者:ヤン・ステーン 制作:1663年 - 1665年頃 寸法:83.8×91.9 cm 技法:カンヴァス、油彩 所蔵:マウリッツハイス王立美術館(オランダ) オランダ黄金時代で特に有名な画家のひとりがヤン・ステーン。レンブラ…

クロード・モネ《昼食》〜白いクロスの午後、幸福はまだ配られていない

原題:Le Déjeuner 英題:The Lunch 作者:クロード・モネ 制作:1873年 寸法:160.0 cm × 201.0 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) 横幅2メートルを超える大きな作品。『装飾パネル』 (panneau décoratif) というタイトルで、1876年…

ゴッホと「耳なしの自画像」(包帯をした自画像)〜事件と芸術が交錯する瞬間

《包帯をした自画像》1889年1月、コートールド・ギャラリー ゴッホが残した約38点の自画像のうち、最も有名な一枚は、アルル時代に描かれたものである。理由は絵画的に優れていることに加え、あまりにも有名な「耳切り事件」が絡んでいるからである。 ゴッホ…

クロード・モネ《パリ、モントルグイユ街、1878年6月30日の祝日》〜旗の海に、都市は息をする

原題:La Rue Montorgueil, à Paris. Fête du 30 juin 1878 作者:クロード・モネ 制作:1878年 寸法:81.0×50.0 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) 1879年にパリで開催された第4回印象派展に出品された一枚。 1878年6月30日、パリのモン…

クロード・モネ《オランダのチューリップ畑》〜地面が燃えている、風車よりも激しい“色の高速道路”

原題:Champs de tulipes en Hollande 作者:クロード・モネ 制作:1886年 寸法:65.5×81.5 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) モネは1886年の4月末から5月初めにかけて、ザーンダムやアムステルダムの風景、チューリップ畑などを描いた…