美術館
2024年12月19日(木)、東京に雪が降った。最低気温は何度なんだ?と思うほど、痛みを伴う寒さが身体を締め付ける。こんな日はユトリロの絵を観るのにふさわしい。 町田で昼ごはんに「おやじラーメン」を食べたあと、バスに乗って美術館を目指す。あまりのバ…
日本は世界一の美術大国。47都道府県に美術館があり、財力があるから所蔵する絵画もすごい。石を投げれば名画にあたる。そんな日本全国の美術館の中から北海道から福岡までランキング形式で紹介する。 第1位:東京富士美術館 第2位:ひろしま美術館 第3位:…
「エコール・ド・パリ(巴里派)」「 パントル・ナイーフ(素朴派)」「キュビズム(立体派)など、西洋アートには素晴らしきキャッチコピーが多い。いずれもパリが発信源となっており、そのパリを麗しく表したのが「 ベル・エポック(美しき時代)」である…
芸術の秋と誰が呼んだか。上野には秋が似合う。日本最大のアートシティ。石を投げれば美術館にあたり、町のレンタカー屋さんにも企画展のポスターが壁を奪い合うようにペタペタ貼られている。日本屈指の絵画公園の雄が東京都美術館、そして国立西洋美術館。…
「広島」や「ヒロシマ」は眼にするが「ひろしま」は珍しい。修学旅行生や観光客が路面電車で目指す原爆ドームの近くに静かなる衝撃は存在する。 〈ひろしま美術館〉 ひとりの画家をコンセプトに造られた美術館は多い。だが、たった一枚のタブローのために構…
野球の国際大会『プレミア12』を追いかけて愛知県に来た。2024年の11月9日と10日。今年は野球場、温泉、美術館が旅の3点セット。新宿から深夜バスに揺られ、快晴の早朝6時前に豊田市に到着。マクドナルドで時間を潰し、豊田市美術館に向かった。 豊田市美術…
東京都の府中市美術館は2010年10月の開館。2000点ほどの収蔵品の中から常設展示を行い、その多くが日本の絵画。市制施行70周年を記念して『アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界』が2024年9月21日から12月1日まで開かれた。 府中駅から徒歩20分。閑静な住宅…
高速バス夢街道会津号に揺られ新宿から4時間半。バスは10分遅れで猪苗代駅に到着。諸橋近代美術館への会津バスに間に合った。ここから25分。山道を縫って走る。 チュッパチャプスの水玉模様のような小雨が降る諸橋近代美術館。この日は雲に隠れていたが雄大…
美術館は土地というカンヴァスにどんな建物を描くかの空間アートである。スケールは大きな重力だが、時に弊害になることもある。狭い茶室の座布団に宇宙が宿るように、町の小さな美術館が都会を圧倒する。大事なのはスケールではなく密度。 美術館は川のほと…
大阪中之島美術館は19世紀後半から21世紀までの近代・現代美術の約6000点を所蔵するミュージアム。僕が生まれた1983年から構想され、経済難などを乗り越えて2022年2月2日の開館。40年近く待ち侘びた大阪民は多い。所有は大阪市。 美術館までの道のり 外観と…
ポーラ ミュージアム アネックスはポーラ銀座ビル3階にあるギャラリー。銀座一丁目という一等地でありながら、すべての企画展を無料で開放している。銀座一丁目駅を出てすぐだが、新宿から乗り換えが面倒くさい。山手線で有楽町駅まで行き8分歩く。 マティス…
「モネが好きなら行ったほうがいいっすよ。俺もたまに行くんすよ」。そんな会話を表参道の前前職の上司としてから6年かかってしまった。 クロード・モネ《睡蓮》1907年 新宿からポーラ美術館に行くには小田急線と箱根登山鉄道を乗り継ぐか、バスタ新宿から小…
文章を習っている仲間が2024年12月に伊豆松崎町で映画の上映会を行う。文章の先生がトークショーを行うので、会場の下見に同行。新宿駅9時25分発の踊り子号に乗って伊豆急下田駅へ。刺身定食を頂き、東海バスで松崎のバス停を目指す。 伊豆の長八美術館 岩科…
バスは安定の1時間半遅れで下諏訪駅に到着。4年前の秋に諏訪湖の黄昏とトワイライトを見に来たときも1時間半遅れた。外国より時間感覚が酷い。唯一の救いは天気は良いがそこまで暑くないこと。湖風のおかげだ。 ハーモ美術館までの道のり ハーモ美術館の外観…
ジャコモ・マンズー《恋人たち》1977 名画を所蔵していても良い美術館とは限らないが、良い美術館にある絵画は名画である。目利、空間デザイン、展示が卓抜しているからだ。作品だけではなく空間、美術館もアーティスト。それを教えてくれるのが福岡市美術館…
スポーツニッポンの校閲部でアルバイトしていた2014年から2016年までの3年間、東京駅は毎日の通勤駅だった。新宿から中央線で東京駅、京葉線に乗り換えて越中島へ。駅構内の移動が1キロ近くある巨大迷路。東京駅は人生の大事な中継点。 ミュージアムタワー京…
奈良出身の田舎者なのに白金台に住む女性から好意を持たれることが2回あった。ひとりは名古屋出身の会社の上司。よくご飯に誘ってくれ、エヴェレストに行くため会社を退職したときは山の生活を詳しく調べ、大量のボディシートをくれた。かつては映画記者で泣…
日本の美術館は二つに分かれる。アートを鑑賞する場所、アートを保管する場所。ひろしま美術館や東京富士美術館、山形美術館が前者。常設展示室が充実しているからだ。そのほかは所蔵品(コレクション)を買ったものの、自館での展示は少なく、ほとんどがレ…
新宿から中央線に乗り八王子まで40分、西東京バスに乗り換え創価大学まで25分。ちょっとした小旅行の先にジャスティスな美術館がある。 東京富士美術館 常設展示室 アメリカン・フォトグラフス展 印象派モネからアメリカへウスター美術館所蔵 美術館メシ カ…
前夜にエスコンフィールドで日本ハムvs.楽天戦を観て、翌朝11時に美術館に向かう。"動"のスポーツと"静"のアート。令和6年は徹底的にこの二刀流だ。 お世話になった新札幌駅内にあるアークシティホテルは静かで快適な一宿だった。穏やかな気持ちで向かえる。…
日本の美術展の良いところは東京で見逃した企画展でも、そのあと日本各地を旅していることだ。昨年に見逃した山下清の回顧展を先月に新潟で観たように、日本の美術館は後悔を救ってくれる。八王子美術館で川瀬巴水の版画展を見逃したときは激しく悔やんだが…
修行は苦しいから、できればやりたくない。自分の場合は逆。日常が苦しくて苦しみを忘れるために苦しい修行をする。シジフォスの岩。日常の苦しみとはお金。毎月、健康保険料と都民税だけで10万円の支払い。物書きとしての作品づくりをしていると収入がない…
奈良をふるさとにする者にとって、三重は大阪や京都より馴染みが深い。車を走らせても景色が変わらないからいつの間にか三重にいる。大和の国の親戚のような土地。村でも町でもなく、その中間の日本語を創らないと表現できない。ヤマトタケルが旅をしたとき…
来年の秋、美術に関する書籍を出すことになった。何枚もの絵画が〈あるかたち〉で登場する。難産を乗り越えこの世に産み落とした絵描きたちへの敬意を忘れてはいけない。はじめに現場ありき。これから1年間で30以上の美術館を巡る。第一弾は、此処から始めた…