アートの聖書

美術館巡りの日々を告白。美術より美術館のファン。

新宿タブロー:SOMPO美術館

新宿タブロー:SOMPO美術館来年の秋、美術に関する書籍を出すことになった。何枚もの絵画が〈あるかたち〉で登場する。難産を乗り越えこの世に産み落とした絵描きたちへの敬意を忘れてはいけない。はじめに現場ありき。これから1年間で30以上の美術館を巡る。第一弾は、此処から始めたかった。

SOMPO美術館

仕事場から歩いて1分半。毎朝この美術館の前を通るとき、レプリカの絵画に挨拶をする。毎日「おはよう」というのは3人。なか卯のスタッフのお姉さん、常連のおじいちゃん、そして、ゴッホ《ひまわり》

初めて来た2010年代は「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」という堅苦しい名前。2020年4月から「SOMPO美術館」に変更。

誕生は1976年7月。洋画家の東郷青児が協力し、損保ジャパンが本社ビル42階に「東郷青児美術館」を開館した。その名の通り、東郷青児の作品が中心の美術館。今もロゴは1929年に東郷青児が描いた《超現実派の散歩》

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2024年5月現在、東郷青児の作品は全国を旅していて、お目にかかったことがない。早く帰ってきて欲しいものである。

美術館が有名になったのは1987年。ゴッホの《ひまわり》を約58億円で購入してから。今では《ひまわり》がある美術館として有名で、東郷青児の作品を知らない訪問者のほうが多い。

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SOMPO美術館の外観は東郷青児の作品にインスピレーションを得たデザイン。アカデミックな雰囲気があり、少し入りづらさがある。

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しかし、中は天井の木の温もりが迎えてくれる。新宿という街柄、いつも混んでいるが気軽に入りやすい。

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そもそも美術館なんてものは月曜定休日。床屋と同じだ。「髪を切りに行くついでに絵でも観るか」っていうくらいが丁度いい。コンビニに行く感覚で美術館に行くようになって欲しい。

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美術館はだだっ広い迷宮のようなミュージアムもあるが、SOMPO美術館は5階から3階まで下山するシステム。一部屋のスペースは狭く、子どもが迷子になる心配はない。

収蔵作品

フィンセント・ファン・ゴッホ

《ひまわり》ゴッホ、1888年

《ひまわり》ゴッホ、1888年

何より常設展示室には《ひまわり》がいる。レプリカもいいが、やはり本物は生命力が桁違い。ガラス越しになってしまうが、絵画というより彫刻のような力強さに満ちている。野球の4番バッター。他の展示に満足しなくても、この一枚だけでいいと思える。そんなホームラン力。世界に7点ある《ひまわり》の中でも最高傑作。毎日でも逢いに来たい。逢いに来てほしい。

美術館メシ

 

ミュージアムカフェ《Café Du Musée》
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5階から3階まで展示物を見たあとは2階のミュージアムショップで図録やポスターなどグッズを買い、ひと息つきにミュージアムカフェ《Café Du Musée》

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絵画と別れたあと、惜別を癒す珈琲とレモンケーキ、フルーツタルト。木の温もり、モード学園タワーに挟まれる。これで750円。

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時間という今しかないアート、体験という世界にひとつだけのアート。年間パスポート5000円を買った。仕事の昼休憩にフラッと抜け出し、息抜きに来る。喧騒から逃れられない新宿のオアシス。此処より永遠に。

SOMPO美術館