アートの聖書

絵画、映画、ときどき音楽

2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

アーティゾン美術館〜空間と作品

スポーツニッポンの校閲部でアルバイトしていた2014年から2016年までの3年間、東京駅は毎日の通勤駅だった。新宿から中央線で東京駅、京葉線に乗り換えて越中島へ。駅構内の移動が1キロ近くある巨大迷路。東京駅は人生の大事な中継点。 ミュージアムタワー京…

深谷シネマとマジェスティック、吉永小百合

映画より映画館のファンだ。生まれ育った奈良の地元には映画館がなく『ドラゴンボール』『ドラえもん』『ルパン三世』の新作が公開されると桜井市民会館に足を運んだ。 スクリーンの緞帳(どんちょう)には、大和の古地図が大きく描かれ、タイムスリップした…

松岡美術館〜麗しき均衡のミュージアム

奈良出身の田舎者なのに白金台に住む女性から好意を持たれることが2回あった。ひとりは名古屋出身の会社の上司。よくご飯に誘ってくれ、エヴェレストに行くため会社を退職したときは山の生活を詳しく調べ、大量のボディシートをくれた。かつては映画記者で泣…

山種美術館と日本の問題点

日本の美術館は二つに分かれる。アートを鑑賞する場所、アートを保管する場所。ひろしま美術館や東京富士美術館、山形美術館が前者。常設展示室が充実しているからだ。そのほかは所蔵品(コレクション)を買ったものの、自館での展示は少なく、ほとんどがレ…

細田守 虹をかける地平線

夏の入道雲を眺めるたび、大学生の頃、彼女を自転車の後ろに乗せて京都の鴨川沿いを走っていた日を思い出す。そう話してくれた人がいた。 新海誠が「音」を操るマエストロなら、細田守は「絵」の語り部。どこまでも視覚的であり、絵が物語る。絵本の世界に迷…

ゴッホの庭:ひろしま美術館

「広島」や「ヒロシマ」は眼にするが「ひろしま」は珍しい。修学旅行生や観光客が路面電車で目指す原爆ドームの近くに静かなる衝撃は存在する。 〈ひろしま美術館〉 ひとりの画家をコンセプトに造られた美術館は多い。だが、たった一枚のタブローのために構…