アートの聖書

美術館巡りの日々を告白。美術より美術館のファン。

名画に酔いしれる!死ぬまでに行きたい日本の美術館ランキング〜47都道府県の最高ミュージアム

山梨県立美術館〜ジャン=フランソワ・ミレーと祝祭

日本は世界でも屈指の美術大国。47都道府県すべてに美術館が存在し、財力ゆえに所蔵作品の質が高い。石を投げれば名画に当たる、そんな日本全国の美術館の中から、北海道から福岡まで、ランキング形式で紹介する。

日本の美術館ランキング

常設展示室の重要性

東京富士美術館,常設展示室

ランキング対象は、「常設展示室を持つ美術館」に限定した。企画展のみの美術館では、訪れるタイミングによって満足度の差が激しい。企画展はあくまで「借り物の服」であり、コスプレイヤー。一時的な魅力はあるが、美術館の本質は、「普段着」である常設展示にこそ表れる。

日本の美術館の特徴として、常設展示を行わない施設が多い。所蔵作品の質が高いにもかかわらず、倉庫に眠らせて死蔵させるのはもったいない。美術館運営に携わる方々には、ぜひ常設展示の充実を検討してほしい。

美術館の評価基準

全国や海外の美術館を巡るとき、評価の基準は大きく三つの総合点で決めている。

まず最も重要なのが「卓抜」。これはその美術館が所蔵している作品の凄さである。作品の数や質、時代や地域の偏り、屋外彫刻の充実度などを含めた総合的な力。名品をどれだけ「持っているか」ではなく、どれだけ「活かしているか」が問われる。

次に「品格」。外観や展示のセンスを指す。上品であれば良いというわけではなく、その土地の文化や風景と調和しているか、展示室の壁の色や作品の高さに配慮があるかを重視する。建築、光、空気感。それらが作品と響き合ってこそ、本当の品格が生まれる。

最後に「開放」。写真撮影が可能か、作品がガラス越しでなく肉眼で観られるか、そして所蔵品を倉庫に眠らせず、積極的に公開しているかなどの点だ。美術館は作品を守る場所であると同時に、社会へと開く窓であるべきだ。

この三つの総合点によって美術館の善し悪しを判断し、さらに「美術館メシ」が加点対象となる。食の体験まで含めて芸術として成立しているかどうかも、鑑賞体験の質を大きく左右する。

日本でこの三つの基準を最も高い水準で満たしているのが「東京富士美術館」である。作品の卓抜さ、空間の品格、観客への開放性、そのいずれを取っても、日本の美術館の最高峰といえる存在だ。

第1位:東京富士美術館

東京富士美術館

  • 開館:1983年11月3日
  • 住所:東京都八王子市谷野町492-1
  • 設計:佐藤総合計画
  • 所蔵:約3万点
  • 目玉:ラ・トゥール《煙草を吸う男》
  • 撮影:OK
  • カフェ:カフェレストラン・セーヌ

「初めて行くならどの美術館がおすすめ?」と聞かれたら、迷わず「東京富士美術館」と即答する。ルネサンスからポップアートまで、500年にわたる西洋画の美術絵巻を網羅する100点以上の常設展示は圧巻。日本に存在するすべての絵画の中で頂点に立つジョルジュ・ド・ラ・トゥール《煙草を吸う男》。これを観ずに死ぬのは、あまりにも惜しい。作品の並べ方、順番、展示の流れがコース料理のように計算されており、一枚一枚の絵画を最高の状態で鑑賞できる。本当に良い美術館とは、単なる美術鑑賞を超えた「体験」を提供してくれる。絵画ではなく体験が最大のアートであることを教えてくれる。その理想形が、東京富士美術館である。

第2位:ひろしま美術館

画像

  • 開館:1978年11月3日
  • 住所:広島県広島市中区基町3-2
  • 設計:日建設計
  • 所蔵:約300点
  • 目玉:ゴッホ《ドービニーの庭》
  • 撮影:OK
  • カフェ:カフェ ジョルダン

ひとりの画家に特化した美術館は日本にも数多くある。例えば、ダリの作品を集めた『諸橋近代美術館』がその一例だ。しかし、たった一枚のタブローのために構成された美術館は、ひろしま美術館をおいて他にない。原爆ドームをイメージして設計された円型の構造、厳島神社をモチーフにした4つの常設展示室は時間と空間を超えた悠久のやすらぎを与える。美の宮殿、美の神殿に入ったように感じる。約300点の所蔵作品のうち、一度に展示できるのは80点ほど。半分以上は観られないが、物足りなさは一切感じない。日帰りであっても、ひろしま美術館を訪れるためだけに広島に足を運ぶ価値がある。そんな美術館は日本広しといえど、そう多くない。

第3位:福岡市美術館

福岡市美術館

  • 開館:1979年11月3日
  • 住所:福岡市中央区大濠公園1-6
  • 設計:前川國男
  • 所蔵:約16000点
  • 目玉:ダリ 《ポルト・リガトの聖母》
  • 撮影:企画展のみOK(常設は不可)
  • カフェ:カフェ アクアム

「名画を所蔵しているから良い美術館」とは限らない。しかし、良い美術館にある絵画は、必ず名画である。それは、展示空間のデザインや展示手法が卓抜しているからこそ、作品の価値が最大限に引き出される。そのことを実感できるのが、福岡市美術館。

観客の半分ほどが幼稚園児や小学生。赤ちゃんの泣き声も聞こえるが、それこそが美術館のあるべき姿。美術館は限られた人のための場所ではなく、すべての人に開かれた空間であるべき。福岡市美術館の最大の魅力は、展示空間のデザインだ。過密でもなく、かといって空疎でもない。絶妙な距離感と角度で作品を配置。美術館は巨大な握り寿司。職人と同じく米(絵画)をギュウギュウ詰めにしてはいけない。逆に握りが弱いと旨みが濃縮しない。ちょうど良い空気が入っていないといけない。福岡市美術館には日本のアート空間の未来がある。

第4位:国立西洋美術館

国立西洋美術館〜美しき愚か者のタブローたち

  • 開館: 1959年6月10日
  • 住所:東京都台東区上野公園7番7号
  • 設計:ル・コルビュジエ
  • 所蔵:6,000点
  • 目玉:エル・グレコ《十字架のキリスト》
  • 撮影:OK
  • カフェ:CAFÉ すいれん

2016年に世界文化遺産に登録された、日本で最も有名な美術館のひとつ。美しき愚かもののタブローたち。美術館の歴史、展示作品の年代の幅、光の当て方、光量などの調光、温度や湿度などの管理、作品の鮮度が圧巻。有名画家はもちろん、あまり知られていない画家の名作も多く、アート史の勉強としては東京富士美術館を上回る。「松方コレクション」という圧倒的な美術力、日本の美術館の底力を見せつけてくれるミュージアム。年間パスポートが欲しい美術館。

第5位:山梨県立美術館

山梨県立美術館〜ジャン=フランソワ・ミレーと祝祭

  • 開館:1978年11月3日
  • 住所: 山梨県甲府市貢川1丁目4番27号
  • 設計: 前川國男
  • 所蔵: 約10,000点
  • 目玉: ジャン=フランソワ・ミレー《種をまく人》
  • 撮影 不可
  • カフェ: レストラン コレル

ジャン=フランソワ・ミレーを中心に、バルビゾン派の絵画に包まれた美術館。これほどまでに絵と土地が寄り添い、仲睦まじく暮らしている美術館はない。絵画だけでなく、地元の食材を使った美術館メシ、野外彫刻の岡本太郎《樹人》も日本屈指。

第6位:大原美術館

大原美術館

  • 開館:1930年11月5日
  • 住所:岡山県倉敷市中央1-1-15
  • 設計:薬師寺主計
  • 所蔵:約3,000点
  • 目玉:フェルディナント・ホドラー《木を伐る人》
  • 撮影:不可
  • カフェ:エル・グレコ(館外)

日本初の私立西洋美術館。一期一絵はもったいないミュージアム。何度も通い歴史を咀嚼したい。神殿の格式を持った外観、巡回しやすい落ち着いた内観。西洋画と日本画のパワーバランスも見事。モネ《睡蓮》《積みわら》、ゴーギャン《かぐわしき大地》、エル・グレコ《受胎告知》などのメジャー作品が客寄せパンダとなり、メジャーではない画家たちの作品にいざなってくれる。展示を見ればどれほど美術を大切にしてきたか、その愛情と温もりが視覚で伝わる。降ってきた雪でさえ暖かさを感じさせてくれる美術館。

第7位:ハーモ美術館

ハーモ美術館〜水の畔の物語

  • 開館: 1990年4月
  • 住所:長野県諏訪郡下諏訪町10616-540
  • 設計:舟橋設計事務所
  • 所蔵:約400点
  • 目玉:ルソー《ラ・カルマニョール》
  • 撮影:作品のみは不可
  • カフェ:ル・カフェ・ダルモニー

諏訪湖のほとりに佇み、パントル・ナイーフ(素朴派)の作品が出迎えてくれる美術館。点数は少ないが優れた作品が多く、アトリエをイメージした別館、西洋画を展示する和室、教会のようなティーセントホールなど、空間デザイン、非日常性が秀逸。本当に素晴らしい絵には技術だけでなく「青春」が宿ることを教えてくれるミュージアム。

第8位:横浜美術館

第8位:横浜美術館

  • 開館:1989年11月3日
  • 住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目4−1
  • 設計:丹下健三
  • 所蔵:約14,000点
  • 目玉:マグリット《王様の美術館》
  • メシ:馬車道十番館
  • 撮影:OK

アートを通じて横浜の過去と未来をつなぐ、美の港。ピカソ、セザンヌ、マグリット、奈良美智から現代写真まで所蔵。他県や海外で、「横浜美術展」を開けるほどのクオリティを持つ。展示空間は、丹下健三が設計した石の神殿。自然光が天から差し込み、静けさと威厳に包まれる。歩けばミロやノグチの彫刻が語りかけ、視線と足音までもが展示の一部になる。

第9位:笠間日動美術館

笠間日動美術館

  • 開館:1972(昭和47)年
  • 住所:茨城県笠間市笠間978−4
  • 設計:芦原太郎建築事務所
  • 所蔵:3000点以上
  • 目玉:ゴッホ《サン=レミの道》
  • 撮影:OK(一部不可)
  • メシ:カフェ・ド・ローブ
  • アクセス:JR水戸線「笠間駅」より徒歩20分

笠間日動美術館は、1972年に日動画廊の創業者・長谷川仁が郷里の茨城県笠間市に設立した私設美術館。3,000点超の収蔵品にはゴッホやピカソ、モネ、藤島武二ら世界・日本の名画が並び、質も圧倒的。
企画展示館やフランス館、日本館、野外彫刻庭園など多様な施設が連なり、移動そのものが鑑賞体験になる。フランス館では、ルノワール、ウォーホル、ユトリロなど傑作揃いの常設展示が魅力。日本画や洋画のコレクションも豊富で、高橋由一、青木繁、岸田劉生など明治~昭和の画家が堪能できる。

周囲の自然や街並みも味わい深い。館内のカフェ「カフェ・ド・ローブ」では、アートに囲まれたランチも楽しめる。建築、空間、展示作品、美術館メシが一体となった、地方にして圧倒的な総合芸術空間。日本屈指の「美の殿堂」として、美術ファンはもちろん旅行好きにも訪れてほしい場所である。2022年に俳優のジャン・レノも訪れた。

第10位:島根県立美術館

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  • 開館:1999年(平成11年)3月6日
  • 住所:島根県松江市袖師町1−5
  • 設計:菊竹清訓
  • 所蔵:7,623点
  • 目玉:クールベ《波》
  • 撮影:OK
  • メシ:レストラン「ラシヌ」
  • アクセス:JR松江駅より徒歩15分、バス6分

風景・建築・展示・食、すべてが一体となった空間に名画があるとき、美術館は特別な存在になる。それが島根県立美術館。

宍道湖のほとりに建ち、湖と空に寄り添う佇まい。館内は天井が高く、自然光がふんだんに入る。展示室は静かで余白が多く、作品と対話する時間が心地よい。館外には野外彫刻が点在し、潮風を受けながら巡る時間もまた芸術体験となる。

館内レストラン「ラシヌ」も特筆。名画の余韻を引き継ぐような料理の数々。宍道湖の絶景を眺めながら味わうその一皿一皿が、美術館の記憶を味覚で締めくくる。宍道湖に面したこの空間は、風景に開かれた額縁。島根県立美術館には、アートと風景と生活が、無理なく調和する未来がある。

第11位:埼玉県立近代美術館

埼玉県立近代美術館〜無音の旋律を奏でるミュージアム

  • 開館:1982年11月3日
  • 住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
  • 設計:黒川紀章
  • 所蔵:約3000点
  • 目玉:モネ《ルエルの眺め》
  • 撮影:OK
  • カフェ:レストラン・ペペロネ

“アートのある日常”が叶う、美術と暮らしが近い場所。狭い茶室の座布団に宇宙が宿るように、町の小さな美術館が都会を圧倒する。大事なのはスケールではなく密度であることを教えてくれるのが埼玉県立近代美術館。200円で常設展示が体験できる。館内は小学生以下の子どもたちが元気に走り回っている。エントランスのアートチェアでは地元のおじいちゃんがうたた寝。地元・埼玉の絵も多いが、西洋画と日本画のバランスが良い。モネが初めて世に放った油絵《ルエルの眺め》がある。理想の美術館が埼玉にある。

第12位:豊田市美術館

豊田市美術館

  • 開館:1995年11月
  • 住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
  • 設計:谷口吉生
  • 所蔵:約3000点
  • 目玉:エゴン・シーレ《カール・グリュンヴァルトの肖像》
  • 撮影:OK
  • カフェ:レストラン味遊是

日本で最も美しい美術館のひとつ。美術館には珍しく小高い丘、線路沿いにある。名物は屋上にある空中水園の散歩道。木と草を極限まで刈りとった、自然を引き算したアート空間。ミュージアムの外観として日本トップクラス。クリムトとシーレの絵画が並んでいるのは日本でもここだけではないか。

第13位:ヤマザキマザック美術館

ヤマザキマザック美術館,名古屋,新栄町

  • 開館:2010年(平成22年)4月23日
  • 住所:愛知県名古屋市東区葵1丁目19−3
  • 設計:日建設計
  • 所蔵:約300点
  • 目玉:キスリング《花束》
  • 撮影:一部OK
  • カフェ:カフェテリア・トペ

名古屋・新栄町駅直結という抜群のアクセスを誇る、ロココ美術の殿堂。工作機械メーカー「ヤマザキマザック」が運営する私設美術館で、18世紀の宮廷文化を中心に、印象派、エコール・ド・パリ、現代アートまで約300年の美の系譜を一望できる。赤い壁とシャンデリアが輝く展示室は、まるで宮廷の一室。絵画と空間が響き合う設計は、箱根・ポーラ美術館を手がけた日建設計による。ガレのガラスやマイセンの食器まで揃い、生活の中の芸術を体感できる。黒を基調とした家具室では、光と影が工芸品の質感を際立たせる。美術館メシも充実しており、1階の「カフェテリア・トペ」では特製ハヤシライスが人気。名古屋が誇る“エレガンスのミュージアム”である。

第14位:彫刻の森美術館

彫刻の森美術館

  • 開館:1969年(昭和44年)9月6日
  • 住所:神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1121
  • 設計:井上 武吉
  • 所蔵:ピカソ、川瀬巴水
  • 撮影:OK(室内はNG)
  • カフェ:彫刻の森ダイニング
  • アクセス:「彫刻の森駅」から徒歩2分

彫刻の森美術館は、美術館というより“風景のなかに溶け込んだ彫刻そのもの”。1969年、箱根の山々に囲まれた地に誕生した日本初の野外美術館。約7万平方メートルの広大な敷地に点在する彫刻たちは、四季折々の自然と対話しながら芸術体験を提供する。

ステンドグラスの光に包まれる《幸せをよぶシンフォニー彫刻》、子ども限定の遊戯空間《ネットの森》、そしてピカソの絵画・陶芸を所蔵する「ピカソ館」など、子どもと一緒に、アートを“見る”だけでなく“触れ、遊び、登る”ことができる。

展示の配置や動線も、美術館全体がひとつの彫刻作品であるかのような計算がなされている。館内レストランで味わえる生ハムとルッコラのピッツァは、全国の美術館メシの中でも指折りの逸品。芸術と自然、体験と味覚が渾然一体となり、美術館の概念を軽々と飛び越える。彫刻の森美術館は、感性をまるごと委ねたくなる、芸術の楽園である。

第15位:兵庫県立美術館

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  • 開館: 2002年4月6日
  • 住所: 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1−1
  • 設計: 安藤忠雄
  • 所蔵: 約10,000点
  • 目玉: 小磯良平《洋裁する女達》/白髪一雄《天空星急先鋒》
  • メシ: ロクメイ サリュウ
  • 撮影:

六甲山と大阪湾にはさまれた浜辺に立つ、建築と自然が共鳴する芸術の館。安藤忠雄設計によるコンクリート打ち放しの建築が、空と海、光と影を内包し、訪れる者の思考を解き放つ。日本近代洋画から現代アート、写真、彫刻まで、多彩な作品群がそろい、その質は全国有数。「円形テラス」や「海のデッキ」、「風のデッキ」といった空間が、建築そのものをアート体験へと昇華させる。歩くたびに景色が変わり、沈黙までもが展示の一部。視線の先には大阪湾と神戸港、そしてポートアイランドや神戸の都心が広がり、心をやさしく解きほぐしてくれる。

第16位:東京国立近代美術館

東京国立近代美術館

  • 開館:1952年(昭和27年)12月1日
  • 住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
  • 設計:谷口吉郎
  • 所蔵:約13,549点
  • 目玉:東山魁夷《道》、岡本太郎《夜明け》
  • 撮影:OK
  • メシ:ラー・エ・ミクニ
  • アクセス:東西線「竹橋駅」1b出口より徒歩3分

東京国立近代美術館は、1952年に開館した日本初の国立美術館であり、常設展示「MOMATコレクション」では明治から現代まで、日本美術の流れを体感できる。

都心の中心にありながら、時間がゆっくりと進む。展示、建築、食事、風景。そのすべてが静かで確かな応答になっている。東京にあるべき美術館が、まさにここにある。

レストラン「ラー・エ・ミクニ」も美術館の特権。三國清三シェフが手がける料理は、展示された作品のように繊細で奥深い。東京で一番の美術館メシ。

第17位:横須賀美術館

横須賀美術館

  • 開館:2007(平成19)年4月28日
  • 住所:神奈川県横須賀市鴨居4-1
  • 設計:山本理顕設計工場
  • 所蔵:約5000点
  • 目玉:谷内六郎《週刊新潮》
  • 撮影:不可(谷内六郎館はOK)
  • カフェ:アクアマーレ

神奈川県三浦半島の観音崎公園に佇む横須賀美術館。所蔵品の力こそ控えめだが、美術館の枠を超えた魅力がある。潮風に乗って届く海の香り、頭上を舞うカモメの鳴き声。空間そのものがアート。何より美術館メシの概念を覆す「アクアマーレ」の存在。全国の専門店と比べてもトップクラスの美味しさを誇るその味は、アートと空間、そして食が融合した極上の芸術体験を生み出している。

第18位:大山崎山荘美術館

第11位:アサヒグループ大山崎山荘美術館

  • 開館:1996(平成8)年
  • 住所:京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3
  • 設計:加賀正太郎/改修:安藤忠雄
  • 所蔵:約1,000点
  • 目玉:モネ《アイリス》《睡蓮》、河井寛次郎
  • 撮影:不可(敷地内屋外は可)
  • カフェ:喫茶室

京都、天王山の中腹にひっそりと佇むアサヒグループ大山崎山荘美術館。明治から昭和初期の香りが残る山荘建築と、安藤忠雄による現代建築が絶妙に共存する。館内にはモネの《アイリス》《睡蓮》をはじめ、東洋と西洋の美が対話するように並ぶ。特筆すべきは、季節の移ろいとともに表情を変える庭園と借景の美しさ。“美術を観る”こと、“風景を感じる”ことが、静かに溶け合っている。京都、奈良の山々が望める喫茶室は必訪。

第19位:喜多美術館

喜多美術館

  • 開館:1988年(昭和63年)4月
  • 住所: 奈良県桜井市 金屋730
  • 目玉:アンディ・ウォーホル《Heinz Tomato Boxes》
  • 撮影:不可
  • 開館時間:10:00~17:00
  • 休館日:月曜日、木曜日、展示替え・夏休み・年末年始
  • 入館料:大人800円、大学生・高校生700円、中学生・小学生200円
  • アクセス:JR三輪駅から徒歩約7分、近鉄桜井駅から徒歩約15分

日本で「隠れた名館」を挙げるなら、喜多美術館は外せない。奈良・山の辺の道の起点、金屋の石仏の前にひっそりと建つ小さな美術館で、その中身は驚くほど濃い。ゴッホやピカソ、ルノワール、藤田嗣治、アンディ・ウォーホル、ジャスパー・ジョーンズなど、世界の名画が、都会の喧騒を離れた土地で静かに息づいている。

土地の静けさと作品の力を呼応させ、鑑賞を“道”の体験へ変える。ここでは絵を見るのではない。金屋の空気と世界の名作が混ざり合う瞬間、その“体験”こそが最大のアート。喜多美術館は、観光地巡りの延長ではなく、ほんの少し立ち止まって、自分と美術の距離を確かめたい人にこそすすめたい。

空前絶後のアート本、登場!

美術館に行く前に読むと、絵の見方が180度変わります。『アートは燃えているか、』は、図版なしで名画をめぐる“言葉の美術館”です。絵を観る天才が何を語るのか、その眼で確かめてください。
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常設展示室を持ってほしい美術館

最後は常設展示室を持たないがためにランク圏外になった美術館。もし常設展示があればランク上位に入る凄さ。

我が心の《ひまわり》:SOMPO美術館

新宿タブロー:SOMPO美術館

  • 開館:1976年6月
  • 住所:東京都新宿区西新宿1丁目26番1号
  • 設計:大成建設株式会社一級建築士事務所
  • 所蔵:約630点
  • 目玉:ゴッホ《ひまわり》
  • 撮影:一部のみOK
  • カフェ:Café Du Musée

今ではゴッホ《ひまわり》の美術館だが、元々は東郷青児の作品が中心の美術館として誕生。5階から3階まで下山するシステム。一部屋のスペースは狭く、心地よい密度がある。東郷青児の作品も素晴らしいので、常に公開して欲しいところ。

圧倒的な財力と企画力:東京都美術館

東京都美術館

  • 開館:1926年5月1日
  • 住所:東京都台東区上野公園8番36号
  • 設計:前川國男
  • 所蔵:36点
  • 撮影:不可
  • カフェ:カフェ・アート

東京都が運営する公立のミュージアム。お金持ちなのでビッグネームの企画展が開ける。かつてはモネの《印象、日の出》、ブリューゲルの《バベルの塔》など、世界屈指の名画を訪日させた。展示、空間デザインも図抜けており、最も常設展示室を持って欲しい美術館のひとつ。

建築そのものが展覧会:国立新美術館

建築そのものが展覧会:国立新美術館(六本木)

  • 開館:2007年(平成19年)1月
  • 住所:東京都港区六本木7丁目22−2
  • 設計:黒川紀章
  • 所蔵:なし
  • 撮影:OK
  • カフェ:サロン・ド・テ ロンド

企画展と公募展のみの東京を代表する美術館。国立新美術館は例外的に常設展示がないほうがいいかもしれない。それほど今の運営が素晴らしい。それでもあえて、この美術館に常設展示があれば、どんな作品を展示するだろうと、夢想せずにはいられない。六本木という都市の喧騒の中にありながら、静けさと憩いの時間が流れている。室内にいるのに、庭園にいるような開放と安らぎがある。

空間デザイン最強:アーティゾン美術館

空間デザイン最強:アーティゾン美術館

  • 開館:1976年6月
  • 住所:東京都中央区京橋1丁目7番2号
  • 設計:日建設計、TONERICO、廣村デザイン事務所
  • 所蔵:約2800点
  • 目玉:藤田嗣治《ドルドーニュの家》、パブロ・ピカソ 《ブルゴーニュのマール瓶、グラス、新聞紙》
  • 撮影:OK
  • カフェ:ミュージアムカフェ

東京駅から歩いて5分のアーティゾン美術館も異様なほどの美のブラックホール。圧倒的な企画力と展示力で他館を上回る。格が違うとはこのこと。だからこそ常設展示室を持って欲しい。

大阪の期待の星:大阪中之島美術館

大阪中之島美術館

  • 開館:2022年2月2日
  • 住所:大阪府大阪市北区中之島四丁目3番1号
  • 設計:遠藤克彦建築研究所
  • 所蔵:約6,000点
  • 目玉:モディリアーニ《髪をほどいた横たわる裸婦》
  • 撮影:OK
  • カフェ:なし

1983年から構想され、経済難などを乗り越えて40年近く大阪民が待ち侘びた美術館。数百億円の財力を活かした所蔵作品は圧巻。だからこそ常設展示室を持たないのは世界の美術史に対する大きな損失。

歴史の幅は日本一:松岡美術館

松岡美術館

  • 開館:1975年11月25日
  • 住所:東京都港区白金台5-12-6
  • 設計:入江三宅設計事務所
  • 所蔵:約1,800点
  • 目玉:ヴラマンク《スノンシュ森の落日》
  • 撮影:OK
  • カフェ:なし

創設者の松岡清次郎のコレクションは凄まじい。残念ながら常設展示は彫刻だけで貴重な絵画を観られるのは一部。紀元前のギリシア彫刻、古代の中国の彫刻など古今東西のアート作品が揃う。

自然と調和:ポーラ美術館

ポーラ美術館〜静謐なる美の森

  • 開館:2002年9月
  • 住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
  • 設計:日建設計
  • 所蔵:約10,000点
  • 目玉:モネ《ジヴェルニーの積みわら》
  • 撮影:OK
  • カフェ:レスラン・アレイ

空間こそ最大のアートと言わんばかりに、箱根の自然と調和している。モネ、ゴッホ、ルノワール、セザンヌ、ルソーなど名画のオールスター。所蔵作品のクオリティは日本屈指。海外からの来訪者も多いので、余計に常設展示を行い、名画旅行を楽しんで欲しい。

最高峰の静寂:MOA美術館

日本最高峰の美術館:MOA美術館(熱海市)

  • 開館:1982年1月11日
  • 住所: 静岡県熱海市桃山町26−2
  • 設計:新素材研究所
  • 所蔵:約3,500点
  • 目玉:尾形光琳《紅白梅図屏風》
  • 撮影:オールOK

“企画展特化型”の美術館としての最高峰。空間の密度と質が桁違い。相模湾と青空、桜や紅葉、竹林が溶け合う風景、その贅沢な「余白」にMOA美術館の本質がある。

小牧市に眠る美の宝庫:メナード美術館

メナード美術館、小牧市

  • 開館:1987年10月28日
  • 住所:愛知県小牧市小牧5丁目250
  • 設計:東急建設
  • 所蔵:約1,500点
  • 目玉:ドラン《ビリヤード》、キスリング《花束》
  • 撮影:不可
  • アクセス:名鉄小牧線「小牧駅」下車西口より徒歩15分

愛知県小牧市にある日本メナード化粧品が運営するミュージアム。所蔵する印象派以降の西洋絵画、明治以降の日本人画家の絵画・彫刻など約1,500点の傑作が元気玉のように集結している。豊田市美術館と並んで、愛知県が日本で屈指の美術王国であることを象徴するだけに、常設展示室を設けてほしい。

古都の森に息づく:奈良県立美術館

古都の森に息づく:奈良県立美術館

  • 開館:1973年3月
  • 住所:奈良県奈良市登大路町10-6
  • 設計:片山光生
  • 所蔵:約4,100点
  • 目玉:白髪一雄《キリーク》
  • アクセス:近鉄・奈良駅/1番出口から徒歩5分

奈良県立美術館は奈良公園近くに建つ県立美術館で、日本美術や奈良ゆかりの作品を収集している。1973年竣工の建物は片山光生の設計で、静かな環境と調和する落ち着いた佇まい。所蔵は約4,100点に及び、白髪一雄の大規模コレクションをはじめ質の高い作品が揃うが、企画展のみの公開に限られている。これらを常時鑑賞できれば、奈良の文化と前衛美術の魅力をさらに広く伝えられる。

空前絶後のアート本、登場!

美術館に行く前に読むと、絵の見方が180度変わります。『アートは燃えているか、』は、図版なしで名画をめぐる“言葉の美術館”です。絵を観る天才が何を語るのか、その眼で確かめてください。
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