韓国の釜山に行くと様々なパブリック・アートに出逢える。美術館や釜山博物館に行かなくてもいい。忙しい観光の途中に少し足を止めてアートに触れて欲しい。街の風景を愉しみ、行き交う人々に耳をすませながら、無料でアート鑑賞ができる。
金海(キンメ)国際空港
1976年に開港した金海(キンメ)国際空港。釜山を訪れる玄関口であり、出発の地。「釜山空港」でないのは、開港当時は釜山ではなく現在の慶尚南道金海市だったから。
国際線ターミナルで出国手続きを済ませたあと、搭乗ゲート前には羽をつけた白熊の像がある。これから羽ばたく我々を見送ってくれる。残念ながら鑑賞だけで触れられない。子どもたちの遊具になれば、もっとアートの価値が出る。
金海(キンメ)国際空港で最もアートなのは搭乗ゲート前に並ぶゴミ箱たち。大型のキャリーケースの形をしており、ルージュの鮮やかな色がフライト前の不安な気持ちを華やいでくれる。浪漫飛行に変えてくれるカラー。
社稷(サジク)野球場
野球ファンでなくとも釜山に来たら訪れて欲しいのが社稷(サジク)野球場での観戦。韓国プロ野球の球都であり、ロッテ・ジャイアンツの熱狂的なファンの応援を堪能するだけで価値がある。1982年の韓国プロ野球が発祥した黎明期から続く歴史と伝統。
社稷(サジク)野球場のパブリックアートが、球場広場にある崔東源(チェ·ドンウォン)銅像。地元・釜山出身の英雄であり、ロッテ・ジャイアンツを初優勝に導いた功績から「鉄腕」のニックネームを持つ。背番号11は永久欠番。リリース直前のポージングの躍動感も見事だが、足元に添えられた花束に地元からの愛を感じる。
崔東源(チェ·ドンウォン)銅像は、郷土愛の強い釜山の野球ファンを今日も見守っている。
明倫(ミョンニュン)
明倫(ミョンニュン)駅は27年前の『水曜どうでしょう韓国サイコロの旅』でお好み焼き屋の前まで来たのに大泉洋が「全員食えない」のカードを引き、明倫駅前のマクドナルドに変更になった場所。
明倫(ミョンニュン)はロッテ百貨店東萊店がある場所で、百貨店の前にパブリック・アートがある。作者不詳。こういうアートは鑑賞するより子どもたちの遊具にしたらと思う。
西面(ソミョン)
旅の宿があった西面(ソミョン)は、釜山市の中心に位置する。1985年に釜山地下鉄1号線が開通したことで若者が集まる釜山随一の繁華街になった。ロッテデパート、西面市場、田浦カフェ通りなど24時間営業のお店も多い。旅のお世話になったソラリア西鉄ホテル釜山もある。
街を東川が流れ、そのまま釜山港、海まで通じている。中心街から少し離れると川沿いになり、様々な橋がある。
釜山の人が道頓堀川に来たら懐かしさを覚える。川は水路であり磁力。関西人が釜山に多いのも、この川が引き寄せるからだ。
西面(ソミョン)から南へ向かう途中にあるのがゴーデンブリッジ。2016年にできたもので新しい。一見なんでもない橋なのだが、離れてみると存在感が強い。ゴールデンブリッジの名は伊達ではない。小さなパブリックアートである。
門峴洞(ムンヒョンドン)
門峴洞(ムンヒョンドン)は西面(ソミョン)から南に20分ほど歩いた地域。ホルモン通りがあり、映画『友へチング』で使われた「七星食堂 本店」などが軒を連ねる。
門峴洞(ムンヒョンドン)は西面(ソミョン)の間に地下道があり、ここがアート街道になっている。
広々として暑さも寒さも凌げる。まさに街の美術館。
ゴッホ《ひまわり》。ロンドン・ナショナルギャラリーにある絵画だ。
フェルメール《真珠の耳飾りの少女》。来年この絵画を観にオランダに行く。
グスタフ・クリムト《抱擁》
ゴッホ《星月夜》。ニューヨークに本物がある。いつか観てみたい。
ジャン=フランソワ・ミレー《落穂拾い》。山梨県美術館ではなくオルセー美術館のもの。
絵のタッチ的にモネだろう。
タイトルがわからないが、絵のタッチ的にギュスターヴ・カイユボットと思われる。
釜山の街を散策するだけで、様々なパブリックアートに出会える。アートは釜山に息づいている。忙しい観光の途中に、ふと足を止めてみてほしい。
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