アートの聖書

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ゴヤ《わたしはまだ学ぶ》終焉を突き破る意志、創造の炎は滅びず

ゴヤ《わたしはまだ学ぶ》

  • 原題:Aun Aprendo(スペイン語)
  • 英題:I Am Still Learning
  • 作者:フランシスコ・デ・ゴヤ
  • 制作:1826年頃
  • 寸法:19.2 x 14.5  cm
  • 技法:黒鉛筆、リトグラフ鉛筆、灰色の紙
  • 所蔵:プラド美術館(スペイン)

1825年から28年頃に制作されたこの素描は、80歳前後のゴヤが自らの精神を映し出した自画像である。

上部に記された「Aun aprendo(私はまだ学んでいる)」という言葉は、老いを超えて燃え続ける探究心の炎を示している。素朴な木炭の線は一切の虚飾を排し、人物の存在を浮かび上がらせる。

78歳でフランス・ボルドーに亡命し、やがて1828年に82年の生涯を閉じたゴヤ。その晩年の姿は、腰の曲がりや無造作に伸びた髪と髭に刻まれた歳月を物語る。一本の杖では歩けず、二本に頼る姿は弱さの象徴であると同時に、不屈の精神を支える二刀流の決意。

腕が衰えればもう一方の腕で描く。両腕が尽きれば足で、足がだめなら歯で、歯がだめなら眼で。そうしてでも表現を続けようとする意志が、この小さな素描からほとばしる。ゴヤは衰えを描いたのではない。老いの彼方にあってもなお、人間は学び続け、創造し続けることができるという誇り高き宣言を、この一枚に刻んだのである。

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