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ゴヤ《ボルドーのミルク売り娘》存在の黄昏に宿る黎明

フランシスコ・デ・ゴヤ《ボルドーのミルク売り娘》

  • 原題:La lechera de Burdeos(スペイン語)
  • 英題:The Milkmaid of Bordeaux
  • 作者:フランシスコ・デ・ゴヤ
  • 制作:1827年頃
  • 寸法:74 cm × 68 cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵:プラド美術館(スペイン)

《ボルドーのミルク売り娘》は、スペインのフランシスコ・デ・ゴヤが最晩年に描いたとされる油彩画。マドリードのプラド美術館に所蔵され、ゴヤの人生を語る上で欠かすことのできない名作とされる。

モデルは亡命先ボルドーで共に暮らした家政婦レオカディア、あるいはその娘ロサリオと考えられており、若い女性がショールをまとい、静かに物思いに沈む姿が描かれている。背景は淡くぼやけた空が広がり、柔らかな筆致と光の表現は、印象派の先駆けとも位置づけられる。

波乱に満ちた人生を歩んだゴヤにとって、清らかな女性像は暗い時代への対極にある「救い」として描かれたと解釈される。陰鬱な《黒い絵》とは対照的に、明るく澄んだ色調を響かせる本作は、老境において創造を追い求めたゴヤの精神を映し出している都いう評価とともに、ゴヤの最高傑作に挙げる者も少なくない。

絵画レビュー:フランシスコ・デ・ゴヤ《ボルドーのミルク売り娘》

フランシスコ・デ・ゴヤ《ボルドーのミルク売り娘》

柔らかな光に包まれた女性の横顔、暗い衣服が、母性が持つ哀愁と温かさを同時に帯びている。粗っぽいタッチの筆致が、絵に生命感と即興的な生々しさを与え、下を向いた姿勢に内面や孤独が表れており、物語を想像させる。

女性は物思いにふけるが、女性を見上げる構図は、リスペクトと同時に、母への憧憬と、仄かな恋心が宿っている。自分の手元に置きたいが、それも叶わぬ願い。やがて巣立っていく女性を、静かに見守っている。

この絵には、「救い」もある。女性のシルエットは灯火のように柔らかく、儚い。眼差しは沈黙に沈みつつも、未来を夢見るような輝きを秘めている。

 

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