
- 作者:モーリス・ユトリロ
- 制作:1928年
- 技法:油彩、カンヴァス
- 寸法:不明
- 所蔵:西山美術館(東京)
モーリス・ユトリロの最高傑作のひとつ。ユトリロが生まれ育ったモンマルトルの街角、サクレ・クール寺院へと続く通りを描いている。
モーリス・ユトリロは1883年、パリのモンマルトルに生まれた。母は画家シュザンヌ・ヴァラドンで、父は不明。ユトリロは、10代の頃からアルコール依存に苦しみ、その療養の一環として絵を描き始めた。初期は白を基調とした独特の風景画を描き、「白の時代」と呼ばれる。のちに色彩を取り入れ、「色彩の時代」へと移行した。
故郷モンマルトルの街並みを好んで描き、生涯に数千点もの作品を残した。1955年に没し、モンマルトルのサン=ヴァンサン墓地に眠っている。
アート漫画『ゼロ THE MAN OF THE CREATION』第34巻220話「ユトリロ-白い絆」によると、ユトリロの壁の白は、ジンクホワイト、石膏、珪石、卵白を混ぜて練ったものを使っていた。
1928年の《モンマルトル》は、東京・町田の西山美術館に所蔵され、ユトリロが45歳前後に描いたもの。特別にガラスケースに収められ、大切に展示されている。
西山美術館は、ユトリロ絵画の収蔵数は76点で個人のコレクションとしては世界最大。フランスにあるユトリロ専門美術館についで世界2位という驚異的なユトリロ館である。
《モンマルトル》は、ユトリロが「色彩の時代」に入った時期の作で、世に認められるようになったのは四十歳を過ぎてからだった。遅咲きの画家がここで放った光は、強烈な輝きを放っている。

ユトリロの「白」とは何なのか?他の画家の白と何が違うのか。?サクレ・クール寺院は、母のおっぱい。ユトリロの白は母乳の色であり、母の面影と愛情、そして渇望を塗り込めたもの。だからこそ、その白には郷愁がある。温もりがある。命を抱き、命を育む力がある。藤田嗣治の高貴な乳白色とは対照的に、ユトリロの白は徹底して母性的だ。マザコンが偉大なアートを出産した。
ユトリロが街を漂白するのは、ただ白く染めるためではない。風景を一度「無」に還し、新たに生まれ直すためである。その余白にこそ、観る者が自分の記憶や感性を映し込める余地がある。
だからユトリロは白を生きる。白を走り続ける。その白は、過去と未来を結び、観る者をも再生へと誘う。
ユトリロの白に触れるとき、母の胸に抱かれるように、絵に包み込まれながら、新しい一歩を踏み出す準備をしている。
ターザン山本さんが観るユトリロ《モンマルトル》

師匠のターザン山本さんは、「ユトリロは都会の死を描いている」と言う。
ユトリロはね、道路や建物を無機質に描くんだよ。モンマルトルを描くことで、都会の時間を止めてしまった。やがて滅びていく風景、つまり都会の死なんだ。この白はね、白装束のようでもあり、白骨の色でもあるんだよ。
左側は窮屈に、右側は開放的に描いている。道路も左は真っ直ぐだけど、右は少しカーブしている。この計算がすごいんだよ。
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ユトリロの作品に逢える日本の美術館
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タイトル不明。
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