- 作者:藤田嗣治
- 制作:1938年
- 寸法:36.3×44.2cm
- 技法:油彩、カンヴァス
- 所蔵:秋田県立美術館
1933年に、パリから10年ぶりに帰国した藤田嗣治が、東京市の麹町区下六番町に1937年夏に建てたアトリエ兼住居。のちに洋風のアトリエに改装され、ここで多くの戦争画を描いてゆく。
何よりも、静けさが広がってくる。障子越しに外の庭がのぞき、枝の細やかな線が冬の澄んだ空気を思わせる。屋内は囲炉裏を中心にまとまり、天井の竹や木の梁まで丁寧に描き込まれている。
部屋のあちこちに置かれた道具や調度品はどれも日常のものばかり。箪笥、掛け物、火鉢や器。使い込まれた物たちが生活の温もりを伝えている。黒い布に描かれた器の図柄が壁を飾り、控えめな装飾が空間にリズムを与えている。
床に敷かれた座布団は二つ。誰かがここで並んで腰を下ろし、囲炉裏を囲んで話をしたのか。炭火の赤い気配まで想像でき、部屋全体がほのかに温まっていく。
外の庭と内の部屋がひと続きになり、自然と生活がつながっている。「アトリエ」というより「暮らしの延長にある仕事場」である。創作が日常の営みと切り離されるのではなく、生活の温度や季節の気配と一緒に息づいていく。
光や空気の移ろいをそのまま感じ取れ、身近な道具や器もインスピレーションの源になる。豪奢ではないが、素朴で実用的で、そこにこそ創作の土壌がある。作品に暮らしの温もりや自然の気配が染み込んでいく。
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