アートの聖書

美術館巡りの日々を告白。美術より美術館のファン。

藤田嗣治《吾が画室》〜世界を旅した画家が帰る場所

藤田嗣治《吾が画室》

  • 作者:藤田嗣治
  • 制作:1936年
  • 寸法:30.0×39.4cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵:秋田県立美術館

1933年に、パリから10年ぶりに帰国した藤田嗣治が東京の戸塚に構えたアトリエの室内画。暖炉のまわりにあるのは、平賀源内《西洋婦人図》風の婦人像とキリスト教の絵画。日本の船箪笥や火鉢が置かれ、梁にはペルーやメキシコなどの仮面がかけられている。世界中を旅した藤田嗣治が収集した愛蔵品で仕事場を固めている。

ほぼ乳白色を封印し、新たな境地で描いている。統一感よりも「好きなものを集めた」ような自由さがあり、かえって居心地のよさを生んでいる。描き込みは細かく、一つひとつのモチーフが大切に扱われているのが伝わってくる。

手前に置かれた椅子は背中をこちらに向け、「座ってみますか」と誘っているようだ。その隣には机やベッドがあり、ここで暮らし、食べ、休む姿を自然に想像できる。

劇的な要素がなくても、生活そのものが温かく感じられる。豪華な調度品はないが、ひとつひとつの物が物語を持ち、部屋全体が「暮らしの記憶」になっている。

眺めていると、暖炉の火が静かに燃え、部屋の中に小さな灯りが広がっていく。人の姿はないのに、不思議とぬくもりに満ちている。そんなやさしい余韻を残す絵である。

藤田嗣治のアトリエの写真

藤田嗣治のもう一枚の日本のアトリエ

《私の画室》

藤田嗣治《私の画室》

  • 制作:1938年
  • 寸法:36.3×44.2cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵:秋田県立美術館

藤田嗣治が東京市の麹町区下六番町に1937年に建てた自宅兼アトリエを描いた作品で、静かな生活の気配が漂う一枚。障子越しの庭や、囲炉裏を中心とした室内が丁寧に描かれ、冬の澄んだ空気と温もりが同居している。箪笥や火鉢など日常の道具が温かみを添え、控えめな装飾が穏やかなリズムを生む。外の自然と室内が連続し、創作と暮らしが一体となる空間として描かれている。派手さはないが、素朴な生活の中にこそ芸術の源泉が息づくことを感じさせる。

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