
- 作者:ギュスターヴ・クールベ
- 制作:1855年
- 寸法:361 cm × 598 cm
- 技法:油彩、カンヴァス
- 所蔵:オルセー美術館(パリ)
フランスの写実主義者クールベが描いた、全然、写実主義じゃないアトリエの傑作。正式なタイトルが長大で「L’Atelier du peintre. Allégorie Réelle déterminant une phase de sept années de ma vie artistique (et morale)」
翻訳すると「画家のアトリエ:我が芸術的(また倫理的)生活の七年に及ぶ一時期を定義する写実的寓意画」になる。この時点で捻くれているが、絵の中身も負けずに捻くれまくっている。
- アトリエに人が多すぎる
- 裸のモデルが目の前にいるのに、画家は風景画を描いている
- 背景の壁がやたらと大きい
これらは単なる奇抜さではなく、ベラスケスの《ラス・メニーナス》やフェルメールの《絵画芸術》と同じく、アトリエという空間を“劇場”としてとらえ、画家自身を世界の中心=絶対者として描いている。
特に、壁のスケール感が見事。山田五郎は「構図が甘い」と批判しているが、洞窟っぽい壁の向こうに膨大な世界が広がっている。アトリエを超えて、クールベの背後に無限の世界が広がっている。ロマンを感じるのは、この壁があるからだ。
山田五郎の解説するクールベ《画家のアトリエ》
右端にいるのが詩人のボードレール、隣が尖った芸術家を支援したサバティエ夫妻、座っているのが小説家のシャンフルーリ、奥にいるのが無政府主義者のプルードンなど、クールベの仲間がいる。
左側はユダヤ人など富裕層がいる。この構図によってクールベは、「自分には理解者がいる。芸術家としての自立が可能だ」とメッセージを発している。ただし、絵としては壁の余白が大きすぎて、構図が甘い。
ターザン山本さんの解釈

絵の見方の師匠、ターザン山本さんは、山田五郎のように知識に頼らず、自分の感性だけで観る。
師曰く「白は希望の色だよ。この中で白を使っているのは、猫、犬、奥の女性、ヌードモデルだよね。クールベは、救いのあるものにだけ、白を施している。女性や動物、クールベが何を愛していたのか、色を見ればわかるよ。他の者には、真に心を許していないんだよ」
正解か不正解かはどうでも良く、こういう絵の見方をしたいものである。
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