アートの聖書

美術館巡りの日々を告白。美術より美術館のファン。

2025-10-22から1日間の記事一覧

ボッティチェッリ《プリマヴェーラ(春)》〜光と風が奏でる交響曲、絵画に息づく調べ

原題:Primavera 作者:サンドロ・ボッティチェッリ 制作:1482年頃 寸法:203 cm × 314 cm 技法:テンペラ 所蔵:ウフィツィ美術館(フィレンツェ) プリマヴェーラ(Primavera/春)は、イタリア・ルネサンスを代表する画家サンドロ・ボッティチェリによっ…

ピカソ《俺はピカソ》〜色彩に刻まれた19歳の鼓動

【作品解説】ピカソ《Yo, Picasso》(1901)。“青の時代”直前の19歳による自画像。カサジェマスの死の余韻を帯び、荒い筆致と強い対比色で自我の震えを刻む。1989年サザビーズで当時最高の4,785万ドル落札。

エドガー・ドガ 《家族の肖像(ベレッリ家)》〜家族という密室、沈黙のサスペンス

英題:The Bellelli Family 作者:エドガー・ドガ 制作:1858–1869年 寸法:200 cm × 253 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) ドガの叔母ローラ、その夫ジェンナーロ、娘ジュリアとジョヴァンナを描いた一枚。舞台はイタリアのフィレン…

パブロ・ピカソ《18歳の自画像》〜迫りくる未完成の魂

【作品解説】ピカソ《自画像》(1900/木炭・紙/ピカソ美術館バルセロナ)——18歳、貧困と絶望のパリで描かれた小品。粗い線と黒い影が精神の震えをそのまま刻み、熱い背景の炎と冷たい眼差しが激しくぶつかる。未完成のまま燃えるような真実を抱いた、自我…

パブロ・ピカソ《15歳の自画像》〜ガラスの十代の瞳、未来を射抜く

英題:Self-Portrait 別題:髪をとかしていない自画像 作者:パブロ・ピカソ 制作:1896年 寸法:32.7 x 23.6 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ピカソ美術館(バルセロナ) ピカソの一家は1895年に港湾都市のラ・コルーニャからバルセロナに移住し、バルセ…

パブロ・ピカソ《パレットを持つ自画像》〜華やぎを拒み、存在を刻む

英題: Self-Portrait with Palette 作者:パブロ・ピカソ 制作:1906年 寸法:91.9 x 73.3 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:フィラデルフィア美術館(アメリカ) ピカソの「バラ色の時代」の末期に描かれ、この時代の唯一と言っていい自画像。容姿はピカソ…

ルノワール《ピアノを弾く少女たち》〜音符の降る部屋、鍵盤の向こうは、お菓子の森

原題:Jeunes filles au piano 英題:Two Young Girls at the Piano 別題:ピアノに寄る少女たち 作者:ピエール=オーギュスト・ルノワール 制作:1892年 寸法:116 cm × 90 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) ルノワールの《ピアノ…

アルブレヒト・デューラー《自画像》〜神を映す鏡、正面から世界を見据える

【作品解説】アルブレヒト・デューラー《自画像〈28歳〉》(1500)——正面性と左右対称で「ヴェラ・イコン」を想起させ、自らを神的創造者になぞらえる宣言的な肖像。黒い背景に毛皮と巻き毛が浮かび、右上の碑文「不滅の色彩で描いた」が永遠性への意志を刻…

《バジールのアトリエ、ラ・コンダミンヌ通り》〜絵の中に美術館、仲間と創造の温度を描く光

原題:L'Atelier de Bazille 英題:I, Picasso 作者:フレデリック・バジール 制作:1870年 寸法:98.0 cm × 128.0 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館 28歳で夭折したフランスの画家フレデリック・バジールが、ラ・コンダミンヌ通りにあったア…

ピカソを青に染めた親友、カサジェマスという光と影

ピカソの“青の時代”の影にいた青年、カルロス・カサジェマスの生涯を辿る。友情と恋、そして自殺がピカソの画風をどう変えたのか。伝説の裏にある真実と、芸術家を生んだ痛みを読み解く。