アートの聖書

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アンリ・ルソー《ラ・カルマニョール》共振する孤独たち、バラバラのまま輪になる

アンリ・ルソー《ラ・カルマニョール》

  • 原題:La Carmagnole
  • 作者:アンリ・ルソー
  • 制作:1893年
  • 寸法:20.5×75.0cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵:ハーモ美術館(長野県)

パントル・ナイーフ(素朴派)の画家アンリ・ルソーが描いた小さな小さな絵。ダンス絵画で最も好きな一枚。

カルマニョールは、フランス革命の輪舞。現在、長野県の下諏訪にあるハーモ美術館に所蔵されている。美術館そのものが素晴らしいので逢いに行ってほしい。

《独立百周年》1892年,J・ポール・ゲティ美術館

《独立百周年》1892年,J・ポール・ゲティ美術館

ルソーは翌年、《独立百周年》という似た絵を描いているが、1893年のバニョレ市役所の装飾壁画コンクールに応募して落選したのも、ルソーらしい。

絵画レビュー:アンリ・ルソー《ラ・カルマニョール》

ハーモ美術館:ル・カフェ・ダルモニー

赤・青・黄のリボンが風にゆれ、空が祭りの青さを湛えている。中央で手をつなぎ、菩提樹のような下で赤いフリジア帽をかぶった14人が踊る。十二使徒とキリスト、そしてルソーの14人。これはルソーが描いた最後の晩餐。

ダンサーは全員、服の色が違う。テンポも、身体の角度も、顔の向きも違う。何もかもがバラバラ。でも一つの踊り、輪になっている。それが人間。別々の生きものが、それぞれの個性で、それぞれのペースで生きる。それが輪になり、和になる。

「同調」の輪ではない。「個性」がぶつかり合いながらも成立する“共振”のかたち。ルソーが描く人生のメリーゴーラウンド。

その踊り、晩餐を見守る者、求婚する者もいる。見ることで参加している人々がいる。我々、絵画を観る者も絵画の参加者なのだ。我々も、静かに“祝祭”に加わっている。

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