
横須賀美術館は 2007年(平成19)4月28日、神奈川県横須賀市にオープンした美術館。絵画、彫刻を中心に、約5000点の日本の近現代美術の作品を所蔵している。

1996年(平成8)に朝井閑右衛門の作品が一括して市に寄贈され、そのことがきっかけで、美術館建設が具体化。別館として谷内六郎館を併設している。
横須賀美術館の設計、アクセス
美術館までのアクセス

横須賀美術館へは、新宿から湘南新宿ラインに乗って戸塚まで行き、横須賀線に乗り換え横須賀駅へ。

目の前は埠頭で、ヴェルニー公園と海上自衛隊の戦艦が勇ましい汽笛をあげる。

横須賀駅から3番乗り場の24号系統・観音崎行きバスに揺られ35分。「ラビスタ観音崎テラス・横須賀美術館前」へ。

バスを降りると海風に運ばれる潮の匂い、海カモメの鳴き声が迎えてくれる。
横須賀美術館の外観

設計は山本理顕。ガラスと鉄板の入れ子構造のデザインで、周囲の観音崎公園の自然と分断しない調和の造り。海の美術館よろしく、空はブルーの広大なカンヴァス、雲という白い絵筆が自由なアートを描く。
海の広場

美術館の前に広がる芝生が「海の広場」。夜はライトアップされ、ワークショップ室と連動した活動や野外映画会などのイベントを行う。

若林奮の巨大な屋外彫刻《VALLEYS》(1989年制作/2006年設置)がある。
屋上広場

朝9時から開放されている山の広場「屋上広場」は屋外イベントを開催することもある。

視線の先には東京湾が広がり、横須賀美術館の外観が堪能できる。

津波の避難所としての役割があり、埠頭の美術館であることがうかがえる。
三軒家砲台跡

美術館の背面は山になっている。海と山の距離が近い。

三軒家砲台は、明治29年に完成。今は戦争の面影はない。

観音崎の代表樹タブノキが風に揺れる音と、ホトトギスの元気な鳴き声が響く。
内観

館内でも常に周囲の自然が感じられるよう、天井や壁面に大小の丸穴が開けられ、開放的な空間となっている。 海側からと山側からのどちらからもアプローチでき、 自然と歴史と美術の深いつながりが感じられる美術館。
横須賀美術館の展示
常設展示室
常設展(所蔵品展)も撮影不可。佐伯祐三が無かったのが残念。横須賀美術館が生まれるきっかけとなった朝井閑右衛門《猫の木のある交番》1947年頃が不思議な魅力を発し良かったが、画像はなし。朝井閑右衛門(あさい・かんえもん)は1901年に大阪で生まれた画家。1947年の戦後、横須賀市住んだ。
写真家・森山大道の《ヨコスカ》で一枚、目をひくものがあった。海岸の防波堤に女性が尻を向けて座っている後ろ姿。これも残念ながら画像がない。企画展はまだしも、常設展示に関しては撮影OKにし、どんどん世の中に広めてほしいところ。
谷内六郎館

横須賀美術館で最も観る価値があるのは谷内六郎館。ここは全作品の撮影がOK。

谷内六郎(1921〜81年)は東京都恵比寿に生まれた画家。

ノスタルジックな昭和の風景画を得意とし、1975年には観音崎公園にほど近い場所にアトリエを構えた。

横須賀美術館では、59歳で没するまでに『週刊新潮』の表紙絵になった作品を展示している。
もみじも手を洗っている

《もみじも手を洗っている》というタイトルが素晴らしい。この発想、童心を持っていないと浮かばない。童心を持っていないと描けない。信濃路の寺の風景。
一番星だけ釣れた

《一番星だけ釣れた》というタイトル、発想も見事。星の王子さま、サン=テグジュペリと同じ眼差しを注いでいる。
押し花

《押し花》。椿の花を階段に押し花する。旅をするなら、こんな光景に出会いたい。こんな光景を拾い集めて言の葉にしたい。
谷内六郎の名画
企画展
ダリ展

横須賀美術館では、2025年2月8日から4月6日まで、「生誕120周年 サルバドール・ダリ ―天才の秘密」が開催。諸橋近代美術館の所蔵品を中心に日本の美術館に点在するダリ作品を初期作から晩年作まで約120 点集めた美術展。

2024年4月の諸橋近代美術館に始まり、秋田市立千秋美術館、大分県立美術館と全国を巡回してきた。横須賀美術館のあとは、広島県立美術館でフィナーレを迎える。特に目立ったのは2つ。※全作品、撮影は不可
パンとクルミ

ダリが20代前半に描いた《パンとクルミ》。なんでもない静物画だが、配置と配色が美しい。ダリはインスタグラマーのセンスが凄い。無造作に胡桃が置かれているように見えて、全体のバランスを整え、割れていることで人間味を感じさせる。ダリは、かなりの美食家だったに違いない。単なるデッサンに止まらない、物に時間と命を与える。技術だけでは描けない。ダリの才能と慈愛の深さが感じられる一枚。
《ダンス:セブン・ライブリー・アーツより》

これも諸橋近代美術館の所蔵。1957年。ダリ50代の作品。男が女の手首、首根っこを掴む。サバンナの野生動物のように捕獲する。絶対に離さない。離れるなら絞め殺す。そんな執念が渦巻く。なのに品とユーモアがある。サルヴァドール・ダリの凄さ。
美術館メシ
アクアマーレ

横須賀美術館の「アクアマーレ」は、2007年4月に横須賀美術館の開館と共にオープン。海を眺めながら地元食材を使ったコース料理を提供する。

オーナーは日高良美シェフ。故郷、神戸市の須磨海岸から眺める景色と似て懐かしく思えると語る。青山のアクアパッツァで食事したことがあるので、こちらも味わいたかった。しかし、この日は団体客が多く、待ち時間があったので断念。
アクアマーレ・スタンド

仕方なしに足を向けたのは、隣の 「アクアマーレ・スタンド」。春先の海風は、まだ冬の名残を残し、寒さで他のお客さんはいない。

深いグリーンのキッチンカーが、海の風を運ぶかのように存在感を放つ。パニーニとピッツアが名物の店。パニーニに心惹かれる。だが、ここのピザ生地は、アクアマーレと同じものを使用。ならば、名物のピッツァを試さずにはいられない。

- 新玉ねぎのバジルとチーズのピッツァ(1,500円)
- ミネストローネ(500円)
- ヨコスカブルーのサイダー(400円)
合計2,400円。価格だけ見れば、アクアマーレと変わらない。だが、海かもめの鳴き声が心地よいBGMとなる。驚くべきはその味。
外は香ばしくカリッと焼き上がり、香ばしい小麦の香りが鼻腔をくすぐる。そして、口に入れた瞬間、衝撃が走る。生地の中はもっちりと弾力があり、オリーブオイルがジュワッと溢れる。新玉ねぎの甘みがチーズと絡み、トマトの酸味が後から追いかけてくる。バジルの香りが鼻を抜け、全てのバランスが完璧に計算されている。
もはやアート。美術館の展示物がかすむほどの衝撃。全国の美術館メシの中でも、間違いなくトップ。それどころか専門店のピッツァをも凌駕する。横須賀の海の色を思わせる「ヨコスカブルー」のサイダーは、ピッツァの濃厚な味わいをすっきりと流してくれる絶妙な相棒。
美術館で、こんなに美味しいピッツァに出会うとは。絵画でも彫刻でもない、ここで一番のアートは 「食」 だった。一口食べれば、ただのランチが、芸術体験 に変わる。
腹を満たし、横須賀温泉に歩いて向かった。
横須賀美術館の情報
所在地:神奈川県横須賀市鴨居4-1
アクセス:京急線「馬堀海岸駅」から京急バス「観音崎」行きで約10分、「横須賀美術館」下車すぐ / JR「横須賀駅」から京急バス「観音崎」行きで約35分
開館時間:10:00~18:00
休館日:毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)、展示替え期間
入館料:展覧会ごとに異なる(公式サイトで確認推奨)
- 開館: 2007(平成19)年4月28日
- 設計:山本理顕
- 目玉:谷内六郎
- 撮影:企画展は不可
- メシ:アクアマーレ
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