
- 著者:原田マハ
- 出版社:幻冬舎文庫
- 発売日:2023年7月10日
- ページ数:353ページ
パリのオークション会社に勤務する高遠冴のもとに、ある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれた。それは、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホが自殺に使用したとされる銃だった。持ち主は謎めいた女性サラ。なぜ彼女がこの銃を所持しているのか? リボルバーの真贋を探るうちに、冴はゴッホとゴーギャンの知られざる真実に迫っていく。美術史の闇に挑む、アートミステリー。
書評
原田マハラジャ全開、やりたい放題。暴走というより“暴発”。真の主役はゴーギャンなのに、PG(ポール・ゴーギャン)が主人公だと本が売れないから、ゴッホの知名度を利用している。それが原田マハのしたたかさだ。
原田マハ自身は、ゴッホの自決説を推しているが、今作では違う結末を用意した。事実を捏造し、自分の気持ちも捏造できる。なんたる強靭で、豊穣なるメンタル。
今作の内容は、ゴーギャンのファン、ナビ派の読者から反感を買うかもしれない。けれど原田マハは気にしない。なぜなら原田マハは絵画に恋しているから。盲目的に、絵画に心を捧げているからだ。そして『リボルバー』は、そうした一途さがどれほど稚拙で、同時にどれほど尊いことなのかを教えてくれる。
原田マハの審美眼は鋭い。フィクションを構築する力は抜群。だが、絵を語ると急に弱くなる。どうしてこんなにも優れた物語を紡げる作家が、絵のレビューになると凡庸になってしまうのか。その理由が『リボルバー』を読んで、ようやく腑に落ちた。
原田マハは、絵の前では乙女になってしまうのだ。ミーハーになってしまうのだ。アートの力を、絵の魔力を、過信しすぎている。その“稚拙さ”は目につく。けれど、だからこそ原田マハは、あれほど心を揺さぶる物語を生み出せる。
原田マハは、このままでいい。ゴーギャンがゴッホに言ったように、原田マハは“心の中にあるタブローと心中する”作家なのだから。
原田マハの本
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