アートの聖書

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パブロ・ピカソ《母と子》〜大地の膝に宿る未来、母の腕に世界が宿る

ピカソ 新古典主義

  • 英題:mother-and-child
  • 作者:パブロ・ピカソ
  • 制作:1921年
  • 寸法:142.9 × 172.7 cm
  • 技法:油彩,カンヴァス
  • 所蔵:シカゴ美術館(アメリカ)

母親の膝の上で落ち着きなく身をよじる赤ん坊。モデルはピカソの妻オルガと生まれたばかりの息子パウロといわれている。ピカソが主に1920年代に描いた「新古典主義の時代」の一枚。現在、アメリカのシカゴ美術館に所蔵されている。

1921年から1923年にかけて、ピカソは母と子を題材にした作品を少なくとも12点制作した。

絵画レビュー:ピカソ《母と子》

ピカソ《母と子》

大地に根ざすように母は座り、天に向かって子は手をのばす。

柔らかな肌の色は、土と空気のあいだで揺れる温もり。衣の白は母乳のようであり静けさをまとい、背景の水平線は、海と空のように世界を分ける。そこには白とグレー、土色と子どもが遊ぶ粘土のような色が塗られている。

母の身体は大地のように大きく、重く、揺るぎない。不自然に直角に曲がる右脚は、揺らぐことのない慈愛の意志。天女が静かに我が子を見守るように、すべてが語られぬまま、確かに語られている。

その膝の上で、赤子は身をよじらせ、ひとときも同じ形にとどまろうとしない。小さな手はまっすぐに、母を、空を、未来を求めて伸びている。肉体は丸く、命は満ちて、言葉ではない会話が、母と子のあいだに脈打っている。

そこにあるのは、儚い小さな命、弱い女性像ではなく、巨大で壮大な存在。大地に根を張りながら、未来へと手を伸ばす家族のひとときを、ピカソは絵を書くことで抱きしめている。

同時期にピカソが描いた《母と子》

  • 英題:Mere et enfant
  • 作者:パブロ・ピカソ
  • 制作:1922年
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 寸法:100 x 80  cm

水彩画のような淡さと鮮やかさ。デッサンのような未完成感が、母と子の未来に寄り添っている。

「薔薇色の時代」の《母と子》

《母と子》1905年、個人蔵

《母と子》1905年、個人蔵

ピンクのレースと背景のブルーの対比。「青の時代」とのハイブリッドのような絵画。

「青の時代」の《母と子》

ピカソ《母と子》1902年

ピカソ《母と子》1902年

安らかな表情の母と。その母を守ろうと決意する幼児。ピカソは赤ん坊を弱者として描かない。

パブロ・ピカソ《海辺の母子像》1902 年

パブロ・ピカソ《海辺の母子像》1902 年、ポーラ美術館
 

ピカソの新古典主義がある日本の美術館

ひろしま美術館

ピカソ《仔羊を連れたポール、画家の息子、二歳》1923年

《仔羊を連れたポール、画家の息子、二歳》1923年

アーティゾン美術館(東京)

パブロ・ピカソ《腕を組んですわるサルタンバンク》 1923年

パブロ・ピカソ《腕を組んですわるサルタンバンク》 1923年

パブロ・ピカソ《女の顔 》1923年

パブロ・ピカソ《女の顔 》1923年

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