
- 原題:Corrida : la mort du torero
- 作者:パブロ・ピカソ
- 制作:1933年9月
- 寸法:31 × 40 cm
- 技法:油彩,木板
- 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フランス)
10万点を超える芸術作品を生み出したといわれるパブロ・ピカソの最高傑作。
1933年8月にスペインに帰郷し、バルセロナ、マドリード、サン・セバスティアンなど旅の途中で数々の闘牛を観戦したピカソが、興奮冷めやらぬ9月に描いた。
絵画レビュー:ピカソ《コリーダ:闘牛士の死》

死に絶えそうな闘牛士をアルゼンチン・バックブリーカーのように背中に従え、マントを食いちぎりながら白き未来に襲いかかるレイジング・ブル(怒れる雄牛)。
白馬は逃げ場を失ったように、脚は牛に向きながらも、首だけを必死に外へと向けている。画面の最も高い場所では、小さなスペイン国旗が誇らしげに風にたなびき、役目を終えた赤いマントに代わって、神の視点からすべてを静かに見守っている。
背中を折られた闘牛士はもはや人ではない。「過去」であり、記憶として牛の背に乗せられる。その姿は、かつて栄光と技巧に満ちた存在の最期であり、地上に堕ちた神話の断片。
黒い稲妻のような雄牛は「現在」であり、過去を背に乗せ、未来へと牙を剥く。今を生きるとは、過去を背負いながら、終わりへと走り抜けること。
白馬は「未来」である。恐怖に飲まれ、目は見開かれ、口は絶望の叫びを上げている。脚は「現在」にとらわれ、頭部だけが必死に「外」へと逃れようとする。
ピカソは絵の中で、最も大きく「未来(死に向かう白馬)」を、次に「現在(雄牛)」を、そして最も小さく「過去(闘牛士)」を描いた。しかし、最も敬意をもって描いたのは、最も無力な「過去」である。
山に登るクライマーは、死の恐怖と闘い、生の光を掴もうとする一方で、心の中では強烈な死に憧れている。命に呑みこまれたいとさえ願っている。闘牛士も同じく、死に取り憑かれた求道者。芸の中に死を招き入れ、己の肉体をもって観客と神を震わせようとする。死はとは「永遠の生」を与えられる名誉。ピカソの絵筆は、ピカドールの槍であり、その真理を捉えていた。
この絵は、ピカソが描いた「灰とダイヤモンド」である。
ピカソが描いた闘牛の絵画

8歳のピカソ少年が描いた24cm×19cmの油絵。現存するピカソ作品の中で最も古いもの。マラガのラ・マラゲータ闘牛場で行われた闘牛を観て描いた。
《瀕死の雄牛》

- 英題:Dying Bull
- 制作:1934年
- 技法:油彩・カンヴァス
- 寸法:33.7 × 55.2 cm
- 所蔵:メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
観客、馬、闘牛士を描かず、死にゆく雄牛の苦しみだけに焦点を当てている。牛へのリスペクトが感じられる一枚。
《闘牛》

- 英題:Bullfight
- 制作:1934年
- 技法:油彩・カンヴァス
- 寸法:54 × 73 cm
- 所蔵:テッセン=ボルネミッサ美術館(スペイン)
闘牛と馬の戦い。子どもが興奮冷めやらぬまま激しく描いたようなデッサンの絵。
《闘牛》

- 英題:Bullfight
- 制作:1934年
- 技法:油彩・カンヴァス
- 寸法:49.8×65.4 cm
- 所蔵:フィリップス・コレクション(米国・ワシントン)
牛、馬、闘牛士などが入り乱れて、形が崩壊している。大乱闘スマッシュブラザーズ。
《闘牛》

- 英題:Bullfight
- 制作:1934年
- 技法:油彩・カンヴァス
- 所蔵:個人蔵
シュルレアリスムの牛と馬の大乱闘。ゲルニカに通ずる馬の雄叫び。
ピカソの傑作絵画
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