
「彫刻の森美術館」は、神奈川県の箱根に日本初の野外美術館として1969年に開館。広大な敷地に彫刻作品が点在し、四季折々の自然と一体化した芸術体験ができる。

奈良県出身の彫刻家・井上 武吉が設計した約7万平方メートルの敷地(小学校の校庭20個分)には、国内外の彫刻家の作品が約120点常設。

屋外美術館としてだけでなく、絵画や陶芸、彫刻などを展示した「ピカソ館」など、室内展示も愉しめる。

体験型アートの美術館であり、一番人気は、カラフルなステンドグラスの塔「幸せを呼ぶシンフォニー彫刻」

小学生限定で遊べる「ネットの森」など、大人から子どもまで家族一緒に遊べる構成となっている。日本の美術館は子どもを連れて行きにくい雰囲気があるが、野外美術館は真逆。

箱根の山々に囲まれたロケーションで、アートと自然散策を同時に体験できる。『ポーラ美術館』と並び、日本が誇る美術館。

雨上がりでも優しい緑が包み、奥深い山中のミュージアムを描いたルネ・マグリットの《王様の美術館》が実在するなら、それは「彫刻の森美術館」だろう。
彫刻の森美術館へのアクセス

新宿からは小田急線で「箱根湯本駅」まで行き、箱根登山鉄道に乗り換える。

「彫刻の森駅」からは徒歩2分。

新宿からロマンスカーを使って片道2時間半、2800円の小旅行になる。

入り口でチケットを買い、ロッカーに荷物を預ける。

何度も訪れているが、箱根の緑は不思議な空気だ。山梨のような奥深さ、奈良のような悠久とも違う。

鑑賞のために神様がつくった造形美、淡い翠色、やさしい潤いがある。7回目なのに外国に来た感覚。訪れるたびに新鮮をくれる。
屋外彫刻

彫刻の森美術館の最大の魅力が野外彫刻。エントランスからトンネルを抜けて屋外に出ると、箱根の山々に包まれた野外ミュージアムが飛び込んでくる。

最初に迎えてくれるのが、岡本太郎《樹人》。山梨県立美術館の日本庭園にもある。大好きな日本人アーティストが最初というのがうれしい。

ブールデルの《弓を引くヘラクレス》1909年。東京富士美術館にもある。岡本太郎といい、最初は男性原理ゴリゴリの彫刻。
井上武吉

坂を降りると、《my sky hole84》。東京都美術館のシンボル 《my sky hole 85-2 光と影》と同じ。

吊るされたバージョンの《my sky hole84. HAKONE》もある。
エミール=アントワーヌ・ブールデル

圧巻がエミール=アントワーヌ・ブールデル。東京富士美術館にもある《勝利》だけでなく、力、自由、雄弁と合計4体もある。この勇ましさと、箱根の山々が見事に調和している。

隣にあるサンディアゴ・デ・サンディアゴ・エルナンデス《抱擁》も見事。
松原成夫《宇宙的色彩空間》

12色の宇宙、虹色のグラデーション。
迷路《星の庭》

体験型アート作品・迷路《星の庭》

あまり迷わないが、子どもと一緒に遊んだら楽しそうだ。
ネットの森

ジョアン・ミロ《人物》が迎えるネットの森。

小学生限定の遊戯。甥っ子を連れてきたい。

隣には、オシップ・ザッキン《山野を歩くヴァン・ゴッホ》。山梨県立美術館にもある。
幸せをよぶシンフォニー彫刻

一番人気のガブリエル・ロアール《幸せをよぶシンフォニー彫刻》

480枚のステンドグラスによるパネル壁面。車や人物が描かれている。

高さ18メートルの螺旋階段を昇りきった塔の屋上には、箱根連山の眺望が待っている。
妖精たちのチャペル

カップル向けの妖精たちのチャペル。
《16本の回転する曲がった棒》

隙間があることで「風」を感じられるオブジェ。
目玉焼きのオブジェ

サニーサイドアップ。子どもと遊びたくなる目玉焼き。アジア人の男性グループがハシャいでいた。
ヘンリー・ムーア

野外彫刻で、特に好きなのが《ファミリー・グループ》。これを見ていると、弟に奥さんや子どもたちを連れてきて欲しいと思う。彫刻の森美術館は独りでも愉しめるが、家族で来るのが最高な場所だと教えてくれる。
室内展示場

「箱根 彫刻の森美術館」には、4つの室内展示場(本館ギャラリー、マルチホール、アートホール、ピカソ館)がある。館内は、すべて撮影禁止。同じく箱根を代表する「ポーラ美術館」が撮影OKなので、やや不思議。公式サイトにも写真がなく、外国から来てくれた方の思い出のためにも、撮影OKにして欲しいところではある。
本館コレクション(本館ギャラリー)

新収蔵作品を中心に、彫刻や絵画を展示する本館ギャラリー。川瀬巴水など有名画家の作品があるのは驚いた。

川瀬巴水《見南山荘風景(箱根)(五)》。極限までカラフルでポップ。遠くの富士山の遙より、足元で色づく花の命の方が尊い。

「暮雪」というタイトルの情緒。村に漆黒が訪れる。雪の荘厳さが際立つ。
名作コレクション(アートホール)

アリスティド・マイヨール 《とらわれのアクション》が門前に立つアートホールでは、彫刻作品を室内に展示している。

ジャコモ・バッラの《バレリーナ》シリーズの「パ・ド・ドゥー」が最も素晴らしい。心が研ぎ澄まされ、抱えているものが透明になっていく。家に飾りたい。写真が公式サイトにもないのが残念。撮影OKにして欲しいところ。
ピカソ館

フェルナン・レジェの《歩く花》が並び立つピカソ館は、1984年に開館。ピカソの娘であるマヤ・ピカソから購入した陶芸作品188点がコレクションの中心。

絵画もあるが、訪れた日は展示の入れ替え中で、有名な絵画はなかった。最も良かった闘牛を描いた大皿の《コリーダ大円形皿》1959年は公式サイトにも写真なし。太陽と闇のファンダンゴ、死のエルドラドを描いた名品。複製品でいいから購入したい。
美術館メシ

彫刻の森美術館には、カフェとレストランが合計3箇所ある。入り口(出口)と屋外にカフェ。
The Hakone Open-Air Museum Cafe

屋外を歩き疲れたら、開放的な空間のカフェがある。

ドリンクなどで一息つくのがおすすめ。食事はレストランに行ってほしい。
ベラフォレスタ

ビッフェ形式のレストランが美術館にあるのは珍しい。味が気になるところ。
彫刻の森ダイニング

おすすめしたいのが「彫刻の森ダイニング」。

開放的な空間の心地よさはもちろん、全国の美術館メシを食べ歩いた中でも三本の指に入る美味しさ。

最強・最高が生ハムとルッコラのピッツァ。横須賀美術館の「新玉ねぎのバジルとチーズのピッツァ」が日本一だったが、双璧。

中目黒の有名店など、いろんな店でピッツァを食べたが、正直、美術館で食べるのが最も美味しい。アートとピッツァは最強コンビ。

箱根 彫刻の森美術館の概要

- 開館:1969年(昭和44年)9月6日
- 住所:神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1121
- 設計:井上 武吉
- 所蔵:ピカソ、川瀬巴水
- 撮影:OK(室内はNG)
- カフェ:彫刻の森ダイニング
- アクセス:箱根登山鉄道「彫刻の森駅」から徒歩2分
- 営業時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:年中無休
- 公式サイト:https://www.hakone-oam.or.jp
彫刻の森美術館は、美術館というより“風景のなかに溶け込んだ彫刻そのもの”。約7万平方メートルの広大な敷地に点在する彫刻たちは、四季折々の自然と対話しながら芸術体験を提供する。子どもと一緒に、アートを“見る”だけでなく“触れ、遊び、登る”ことができる。
展示の配置や動線も、美術館全体がひとつの彫刻作品であるかのような計算がなされ、館内レストランで味わえる生ハムとルッコラのピッツァは、全国の美術館メシの中でも指折りの逸品。芸術と自然、体験と味覚が渾然一体となり、美術館の概念を軽々と飛び越える。彫刻の森美術館は、感性をまるごと委ねたくなる、芸術の楽園である。
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