アートの聖書

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パブロ・ピカソ《花飾りの帽子の女》〜花と爆発、色の爆弾、未来の仮面

パブロ・ピカソ《花飾りの帽子の女》

  • 原題:Buste de femme au chapeau à fleurs
  • 作者:パブロ・ピカソ
  • 制作:1943年7月
  • 寸法:81×60 cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵:個人蔵

《花飾りの帽子の女》はパブロ・ピカソが恋人だった写真家のドラ・マールを描いた油彩画。

ピカソとドラ・マール

ピカソとドラ・マール

1943年7月、ナチスドイツ占領下のパリで制作され、80年以上もの間、一般公開されていなかった。2025年10月24日にパリのオークションにかけられ、約3200万ユーロ(約55億円)で落札された。

パブロ・ピカソ《花飾りの帽子の女》

アイヌが顔に刻む刺青のように見える刻印は、決して古臭く見えず、最新のファッションか、未来の仮面のようにモダンである。

ピカソは、筆ではなくドラムスティックで描いたのでは?と思うほど、リズムが跳ねている。赤、青、緑、黄、黒。絵の具たちが、感情の乱舞を繰り広げている。

帽子の花がすごい。南国の花か、爆発した太陽か。それとも女の頭の中で燃えている思考そのものか。ピカソにとって、花は装飾ではなく、爆弾のようなもの。愛と嫉妬と欲望が混ざり合い、絵の中で炸裂している。でも、この混沌は決して不快ではない。

女の顔の形は崩れているのに、眼が異様に強い。まっすぐ、刺さる。その視線には優しさも悲しみもなく、ただ「私はここにいる」と言い放つ強度がある。派手な色彩の嵐の中で、この目だけが沈黙している。その沈黙が、かえって凄まじい。

《花飾りの帽子の女》は、肌の代わりに模様を持ち、感情の代わりに色を纏い、静けさの代わりにリズムを放つ。古代と未来、傷と誇り。すべてを顔に詰め込んだ絵。

絵がこちらに「お前の顔にも、刻印があるだろう?」と問いかけてくるようだ。

これは絵ではなく、ビジュアルの呪文。観る者の魂に刺青を刻む作品だ。

有名な《泣く女》

パブロ・ピカソ《泣く女》

  • 原題:Femme en pleurs
  • 英題:The Weeping Woman
  • 制作:1937年
  • 寸法:61 cm × 50 cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵: テート・モダン(ロンドン)

ピカソが描いたドラ・マールの最も有名な絵は、《泣く女》である。ピカソが描いた感情のレントゲン。泣いているのは女ではなく、ピカソの魂。ピカソは、被写体としてドラ・マールを何枚も描いた。

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