
- 英題:Waterlilies
- 作者:クロード・モネ
- 制作:1907年
- 寸法:92.5x73.5cm
- 技法:油彩、カンヴァス
- 所蔵:DIC川村記念美術館→個人蔵
《睡蓮》は、クロード・モネが人生の半分以上を捧げた連作。1895年(45歳頃)に描き始めてから、亡くなる直前の1923年(83歳頃)まで200点以上。晩年の20年間は、ほとんど睡蓮だけを描き続けていた。白内障で視界がにじみ、ほとんど見えなくなっても、モネは池の前に立ち続けた。絵を描くというより、睡蓮と一緒に生きていたと言ったほうが近い。
千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館も《睡蓮》を所蔵していたが、閉館によってニューヨークのクリスティーズに出品。2025年11月17日のオークションで、4548万5000ドル(約70億5000万円)で落札された。
絵画レビュー:水面の絵」じゃなく「世界の入口」

クロード・モネ《睡蓮》1907年
モネの《睡蓮》を前にすると、まず思う。
これ、水の絵じゃなくて“異世界の扉”だよな? と。
だって、地面がない。空もない。あるのは、上なのか下なのか分からない謎の世界だけ。絵を見ているのに、脳が「方向」を失う感じ。ほぼ、精神のジェットコースター。
そして真ん中の黄金の縦ライン。ただの太陽の反射じゃない。天界から降りてきた光のレーザービームである。睡蓮たちが浴びてるのは日光ではない。「祝福」だ。
周囲の緑や紫の揺らぎは、風でも波でもなく、モネの気分の揺れがそのまま描かれている。水面というより、モネの心がユラユラしている画面。この感情のスープみたいな絵に、なぜか落ち着いてしまう。
睡蓮の葉たちも、ただ浮かんでいるだけじゃない。「モネの画面に出演できて光栄です」と言ってる感じ。小さく赤い花が咲いてるのも、「はい、ここに可愛さ注入しておきますね!」というサービス精神。
そして極めつけは、この絵、ほぼ“癒しの合法ドラッグ”。見ているだけで、呼吸が深くなる。心が勝手にデトックスされる。脳が静かになっていく。
これを描いたモネは、睡蓮を40年で200枚以上描いた。完全に睡蓮ジャンキーである。でもそれでいい。モネの《睡蓮》は、“水の絵”じゃない。世界の継ぎ目の光を描いたファンタジー絵画である。
こんな絵を家に飾ったらどうなるか?帰宅するたびに異世界ポータルに吸い込まれるので、間違いなく癒しの毎日を送れるだろう。
睡蓮、恐るべし。
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