
- 英題:Water Serpents I
- 作者:グスタフ・クリムト
- 制作:1904–1907年
- 寸法:50 × 20 cm
- 技法: 水彩画、テンペラ、金箔、羊皮紙
- 所蔵:オーストリア絵画館
クリムトが当時のウィーンではタブーとされていた同性愛を描いた作品。密やかに行われていたレズビアン乱交パーティーを描いた。うねり、絡み、ほどける人体と装飾、精液の象徴として女性を「水蛇」に変え、神話画を書いたようにカムフラージュした。
水の流れに身を任せて、幻想の世界に閉じこもり自己陶酔に浸っている女性たち。
右下には、うろこが輝く魚の頭があり、ぎょろりとした目が、鑑賞者の目に飛び込む。
海底には明るい黄褐色のサンゴ礁があり、そこから伸びる金色に輝く水草は、水の流れによって穏やかに揺らめいている。

クリムトは1898年に、ウィーン分離派の月刊誌『Ver Sacrum』で「魚の血」というタイトルのイラストを描いている。
《水蛇Ⅰ》は「見せずに想像させる」設計が徹底している。肝心なところは髪や布や模様で隠し、肌の面積はたっぷり残す。何がどこまで見えるのかをギリギリで止めるから、見る側の想像が勝手に熱を上げる。
蜂蜜色とクリームのあたたかさ、ところどころ青緑が差し込んで体温をクールダウンさせる。熱くして、少し冷まして、また熱くする。その繰り返しが官能の呼吸になる。
表情だけでなく、指先や髪の絡み方が決定的。ほどけそうでほどけない距離感が続き、次の一瞬を待たされる。水の中という設定も効いている。音が吸われ、動きがスローになり、息づかいだけが残るような静けさが余計にエロい。
《水蛇Ⅱ》

- 英題:Water Serpents Ⅱ
- 作者:グスタフ・クリムト
- 制作:1904–1907年
- 寸法:80 cm × 145 cm
- 技法: 油彩、カンヴァス
- 所蔵:個人蔵
《水蛇Ⅰ》と同じ頃に描かれた《水蛇Ⅱ》
今度は油彩画で、画面も横長。サイズも大きくなっている。乱交パーティーでの情事を終えて横たわる女性2人と首だけの女性が2人という構図。


クリムトは《水蛇》を描くにあたって、自慰行為をする女性と、陰毛を剥き出しにして横たわる女性の素描を繰り返し描いた。
《水蛇Ⅱ》は、強弱の違う二つの声が重なって、行為のあとに続くささやき(ピロートーク)の時間を感じさせる。全身を描かず、フレーム外にまだ続く身体と人数の多さを想像させる。タイトルの「水蛇」の通り、からだは装飾に溶け、官能が生々しさから詩へ滑っていく。露骨な描写を避けつつ、余熱だけは濃く残す。
首だけの2人の女性は、行為を終えた女性の魂であり、音符であり、コンマやピリオドでもある。このホラー的な要素を入れることで、より幻想感を強めている。
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