アートの聖書

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ピカソ《三人の女》〜石と肉のあいだに生まれた三美神

ピカソ《三人の女》

  • 原題:Trois femmes
  • 英題:Three Women
  • 作者:パブロ・ピカソ
  • 制作:1908年
  • 寸法:200 x 185 cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵:エルミタージュ美術館(ロシア)

《三人の女》は、ピカソが「アフリカ彫刻の時代」に描いた裸婦画。世界の美術史を揺るがした《アヴィニョンの娘たち》を踏襲しつつ、印象を大きく変えている。

結界の中にいるような女性たちは、肉体をもたぬ肉体である。その肌は筆で塗られたというより、彫刻刀で削り出された断面のようだ。だが、その硬質さの中に、妙に柔らかい気配が漂っている。腕の線はしなやかに曲がり、胸や腰の起伏には、人の体温が残っている。

ピカソは、形を破壊しているのではない。形を分解しながら、感情の振動をその中に閉じ込めている。角張った面が光を受けるたびに、心の奥の鼓動が反射しているようだ。女性たちは石のように静止しているが、その沈黙は生の熱を孕んでいる。

彼女たちのポーズは、ギリシア神話の三美神のようにゆったりとして、威厳がある。その表情は、情事を終えた安らぎの顔にも、これから誰かを誘う柔らかい予感にも見える。

彫刻的な硬さと、神話的なやわらかさ。その二つが矛盾せず、同じリズムで呼吸している。ピカソはここで、官能を否定するのでも、賛美するのでもなく、生きることそのものを形の振動として描いた。この絵の沈黙には、眠りと目覚めのあいだにある、世界がまだ赤く呼吸していた頃の記憶が宿っている。

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