
- 原題:Los Tres Músicos(スペイン語)
- 英題:Three Musicians
- 作者:パブロ・ピカソ
- 制作:1921年
- 寸法:200.7 cm × 222.9 cm
- 技法:油彩、カンヴァス
- 所蔵:ニューヨーク近代美術館(MoMA)
1921年の夏、フランスのパリ近郊のアトリエでピカソが描いた2枚の《三人の音楽家》のひとつ。すでに「新古典主義の時代」に入ったピカソが描いたキュビズム絵画であり、ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。
左端には仮面をつけたピエロ(白い衣装の道化師)が、クラリネットを奏でている。中央にはアルルカン(三角形のパッチワーク衣装をまとう道化師)が座り、ギターの音を響かせる。そして右側では、楽譜を手にした僧侶が口を開き、歌声を放っている。
この3人の人物には実在のモデルがあるとされる。ピエロは詩人ギヨーム・アポリネール、アルルカンはピカソ自身、そして僧侶は詩人マックス・ジャコブ。
テーブルの上にはパイプやタバコの箱、ポーチといった小物が散らされ、日常の気配が漂う。テーブルの下には茶色の犬が身を潜め、画面にユーモアを添えている。
この絵のポスターが映画『アパートの鍵貸します』のジャック・レモンの家の壁に貼ってあった。

《三人の音楽家》はスペインの巨匠・ベラスケスも描いており、ピカソの着想もベラスケスと思われる。
絵画レビュー:ピカソ《三人の音楽家》

ここにいる三人は、魔術師だ。その音色は呪術のように惹きつけるのに、不気味さは一切ない。明るく、楽しく、陽気に広がっていく。呪術がフェスのアンセムになったら、きっとこんな感じだ。気をつけないと、この三人に連れ出されて、絵の奥へ奥へと行進してしまいそうになる。
《三人の音楽家》は視覚のコンサートであり、魔術のパレードであり、明るい旋律で人々を引き連れていく「ポップなハーメルンの笛吹き男たち」である。危ういほど楽しげで、抗いようがない。
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フィラデルフィア美術館のピカソ《三人の音楽家》

- 制作:1921年
- 寸法:204.5 cm × 188.3 cm
- 技法:油彩、カンヴァス
- 所蔵:フィラデルフィア美術館(アメリカ)
同時期に描いた、もう一枚の《三人の音楽家》。ピエロとアルルカンの位置が入れ替わり、アルルカンはギターではなく、バイオリンを弾いている。犬はおらず、床は茶色ではなくオレンジ色、楽譜は僧侶が持たず、テーブルの上に置かれた。
絵画レビュー

フィラデルフィア美術館にあるピカソの《三人の音楽家》は、ニューヨーク版と比べても一層カーニバル感が強い。響いてくるのは、不協和音ではなく、祝祭のリズム。
SEKAI NO OWARIの『炎と森のカーニバル』が聞こえてくる。ピエロや仮面、きらめく祝祭、少し不思議でファンタジックな光景。そこに漂うのは妖しさではなく、「みんな一緒に楽しもう」という高揚感。絵の中の三人も、そんなカーニバルの演奏隊。森の奥で灯りに囲まれて歌い、楽器を鳴らし、夢の世界へ連れ出していく。
同時に、この絵は『RPG』の世界とも重なって見える。三人はそれぞれ違うキャラクターを背負いながら、一緒に冒険に出ている仲間のようだ。ピエロ、アルルカン、僧侶という奇妙な取り合わせが、ゲームのパーティのようで、それが一枚の画面の中で完璧なチームワークを発揮している。SEKAI NO OWARIの楽曲がそうであるように、不思議で、楽しくて、そして少し切ない。そんな余韻を残す絵である。
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