アートの聖書

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パブロ・ピカソ《鳩》と《平和の鳩》〜国境を越える翼、世界をつなぐ一羽の線、未来を運ぶ羽ばたき

  • 邦題:鳩
  • 原題:La Colombe)
  • 英題:The Dove
  • 作者:パブロ・ピカソ
  • 制作:1949年
  • 寸法:54.6 x 69.1 cm
  • 技法:リトグラフ

ピカソは鳩を深く愛していた。フランソワーズ・ジローとの間に生まれた娘に「パロマ(スペイン語で鳩)」と名付けたほどだ。《平和の鳩》(1949年、リトグラフ)に描かれた鳩は、友人である画家アンリ・マティスから贈られたミラノ鳩である。

この《鳩》のリトグラフは、1949年の世界平和評議会のポスターに使われた。ピカソのアトリエを訪れたフランス共産党支持者の詩人ルイ・アラゴンがこの絵を選んだのである。

1981年にソ連で発行された切手

その後、1981年にはソ連で発行された切手にも採用された。

ピカソが差し出したのは、難解な実験や挑発ではなく、誰もが理解できる普遍的で温かなイメージだった。それが「平和の鳩」であり、やがて世界的な平和のシンボルとなった。芸術はただ美を示すだけでなく、人々の心をひとつに結ぶ力を持つ、その証となった作品である。

パブロ・ピカソ《平和の鳩》

《平和の鳩》1949年、リトグラフ

《平和の鳩》1950年頃、素描
  • 原題:La colombe de la paix
  • 制作:1950年頃
  • 技法:素描

ピカソが描いた多くの鳩のなかの最高傑作。わずか数本の線で描かれた素描にすぎないのに、その簡潔さの中には驚くほどの力が宿っている。一筆はためらいなく流れ、空を切り開くように鳩の翼をかたどる。

そこには陰影も装飾もない。ただ線だけがある。その線は羽ばたきの音を響かせ、光の中へと羽を広げる。子どもでも理解できるほど単純で、同時に果てしない深さを抱えている。

芸術はしばしば技巧や象徴に閉じこもり、人を遠ざける。しかしこの鳩は誰にでも開かれている。単純だから深く、単純だから国境を越え、単純だから年齢を超える。

ピカソの線はただの線ではない。未来への祈りを運ぶ翼であり、希望の息吹そのものなのだ。

 

そのほかのピカソの《鳩》

1950年の《鳩》

The Flying Dove

1952年の《鳩》

La Colombe Volant

La Colombe Volant

1962年の《鳩》

La Colombe de L'avenir

1974年の《鳩》

La Colombe en Vol

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