
アムステルダム国立美術館で1600年代のオランダ黄金時代の絵画に触れ、ゴッホ美術館で1800年代のマスターピースを堪能し、デザートに20世紀以降の現代アートで締めくくりたい。そんな芸術三昧の旅を叶えてくれるのが、アムステルダム市立美術館(Stedelijk Museum Amsterdam)。
オランダの現代アートとデザインの殿堂であり、20世紀から現代に至る前衛芸術や実験的デザインの最前線を担う、オランダの「今」を体感できる場所。

所蔵コレクションは約9万点を超え、モダンアートではカンディンスキー、マレーヴィチ、モンドリアン、ピカソ、シャガールらの作品を網羅。“時代の感性”が静かに息づいている。
アムステルダム市立美術館ガイド
チケットの取り方

チケットは公式サイトから事前予約するか、当日券は入り口にあるQRコードを読み込んで購入する。22.50ユーロ(3700円)。QRコードをスキャンしてもらって入場する。

年間200万人以上を飲みこむアムステルダム国立美術館やゴッホ美術館と違い、アムステルダム市立美術館の年間の来館者数は70万人。約1/3なので、当日券でも取れる。
アムステルダム市立美術館への行き方
スキポール空港から

アムステルダム市立美術館は、アムステルダムの文化地区ミュージアム広場(Museumplein)に位置する。国立美術館もゴッホ美術館も隣り合っているので共通。
電車と地下鉄の乗り継ぎ

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スキポール空港駅からオランダ鉄道(NS)で「Amsterdam Zuid」駅へ(約6分)
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「Amsterdam Zuid」駅で地下鉄52番線(Noord/Zuidlijn)に乗り換え、「Vijzelgracht」駅で下車(約5分)
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「Vijzelgracht」駅からライクスムゼーウムまで徒歩約5分
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所要時間:乗り継ぎ含めて約20~21分
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運賃:合計 €3~8(乗車クラスや時間帯による)
直通バス
Connexxion社の「Amsterdam Airport Express」バス(397番)を利用。
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乗車場所:スキポール空港の「Schiphol Plaza」出口を出て右手、バス停B17
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降車場所:「Museumplein」停留所
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所要時間:約26~30分
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運行頻度:日中は7~15分間隔、深夜は夜行バスN97が60分間隔で運行
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運賃:片道 €6.50、往復 €11.75(2025年時点)
- 支払方法:バス車内でクレジットカードやデビットカードのタッチ決済(OVpay)

今回は乗り換えのないバスを使った。歩道を渡るとB17のバス停がある。

運行間隔は15分ほど。ちょっと待ったら来てくれる。

397系統に乗る。おそらく深夜のN97は「Rijksmuseum」(アムステルダム国立美術館)で降りる。

バスに乗るとタッチ決済の機械があるので乗るときと降りるときの両方クレカをタッチ(自分は楽天のマスターカード)。途中、警備員が乗ってきて、不正利用がないかカードをチェックされる。車内にはストップボタンがあるが、降りる直前にカードをタッチしておくと降りるというサインなので止まってくれる。

「Museumplein」は目の前がゴッホ美術館前。この隣がアムステルダム市立美術館。

アムステルダム市立美術館の歴史と外観

現在のアムステルダム市立美術館の建物は伝統的な赤レンガの本館と、近未来的な白い“バスタブ型”の新館が融合したユニークな構造を持つ。

初代は1874年に設立され、開館は1895年。現代美術・工芸・装飾美術を紹介・保存するための施設として開設された。オランダの建築家 アドリアン・ヴィレム・ヴァイスマンにより設計されたネオルネッサンス様式の赤レンガ建築が、現在も本館として使用されている。

2012年に、白くて巨大なバスタブのような新館(設計:Benthem Crouwel Architects)が完成。現代的な展示空間が加わり、より多様なアート体験が可能になった。
アムステルダム市立美術館の展示室

どの空間もアーティスティックに工夫され、シンプルな展示の国立美術館やゴッホ美術館とは対照的。日本の美術館の雰囲気に最も近い。

とても心地いい装飾過多。現代アートは、こうであってほしい。


原田マハが著書『モダン』で言っていたが、前衛アートには白い壁が似合う。
白い壁は、前衛芸術のシンプルなフォルムや力強い表現を引き立てた。「なんだこりゃ」と人々が眉をひそめるような、見たことのない造形であっても、すっきりと美しく際立つのだ。

それでもシャガールの絵を、これほど無造作に並べるのがすごい。

なぜか日本のポスターも。この展示の仕方が意味不明。

2025年4月23日はアンゼルム・キーファーの特別展が2階で開催中。



アムステルダム市立美術館の展示作品
カジミール・マレーヴィチ

アムステルダム市立美術館で最も有名な一枚。ウクライナの画家(両親はポーランド人)のカジミール・セヴェリーノヴィチ・マレーヴィチ。
実際に観ても、この絵は迫力が桁違い。無造作に転がる切り倒した木の数々。顔は無表情だが、懺悔しているようにも見える。斧が十字架の祈りのよう。
日頃の仕事の中に、人間の業や罪を描いている。

もう一枚、マレーヴィチの作品。こちらは、まあまあ。
ピカソ、カンディンスキー、ロスコ

世界中のどこに行っても出逢うピカソ。これはイマイチ。

さすがのカンディンスキー。タイトルが分からず、ものすごく音楽的なリズムの絵だと思ったら、そのままのタイトルだった。カンディンスキーは抽象絵画の中でも親しみがある。

日本でもよく観る、マーク・ロスコ。色彩のバランスがやや騒がしく、もっとシンプルなほうが好み。やや色彩がゴチャゴチャしてインパクトが弱かった。
ピート・モンドリアン

ゴッホ以降、最も有名なオランダ画家が抽象絵画の創始者ピート・モンドリアン。ゴッホを尊敬していたが、まったく異なる作品を生み出した。2021年にはSOMPO美術館が生誕150周年の企画展を開いた。オランダではデン・ハーグ市立美術館の所蔵が多く、クレラー・ミュラー美術館にもある。

水平と垂直、三原色(赤、青、黄)のコンポジション。ミニマリストの人なら良いと思うのだろうか。大部分を占める空白は虚無、仏教の「空」の思想か。良さが分からない。
ただし、美術館の展示は良いと思わないが、イブ・サン=ローランのドレスなどファッションにすると、めちゃくちゃ良く思える。

無彩色(白、黒、灰)。もはや、ここまで来ると何ひとつ感じるものなし。


こちらはクレラー・ミュラー美術館で観たもの。いつかモンドリアンの良さがわかるようになったら、デン・ハーグ市立美術館も訪れてみたい。ピカソとロスコに戸惑い、モンドリアンに宿題を出された日。そんなアート体験も面白い。人生は宿題があったほうがいい。
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