
- 英題:Shepherdess with her Flock
- 別題:羊飼いの娘と羊の群れ
- 作者:ジャン=フランソワ・ミレー
- 制作:1863年
- 寸法:81 cm × 101 cm
- 技法:油彩、カンヴァス
- 所蔵:オルセー美術館
ジャン=フランソワ・ミレーの名を一躍、有名にした絵画。1864年のサロンに出品し、好評を博して1等賞を獲得した。批評家ジュール=アントワーヌ・カスタニャリは、「大地と空、情景と人物が呼応し、結び付いている。技巧ではなく精神が、表面的な魅力の陰に存在している。まさに最高峰の芸術」と絶賛した。
フランス政府の文科省美術局から1500フランで買上げの申出がされたが、収集家ポール・テスの注文品であったことから、断った。


羊の群れと羊飼いの組み合わせは、ミレーの代表作《晩鐘》と、《夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い》のハイブリッドである。
解説:ミレー《羊飼いの少女》〜沈黙の守護者

少女は群れの前に立ち、視線を落とし、ただそこにいる。動きがないのに、画面全体が張りつめた空気で満ちている。
羊たちは一つの塊となって少女の背後に集まり、彼女を中心に世界が回っている。少女の表情は明るくはない。むしろ疲れや孤独を抱え込んでいる。それでも立ち続けるその姿に、見守る者の強さが宿っている。
この絵に派手さはない。観客は羊飼いと一緒に風を感じ、雲間から差す淡い光を受け取り、夕暮れの広い草原に放り込まれる。静止画のはずなのに、音が聞こえる。羊の群れのざわめき、犬の足音、そして少女の沈黙。その沈黙が、この絵の主役。
《羊飼いの少女》は、ただの田園風景画ではない。生きることの孤独と強さを、ひとりの少女を通して描いたミレーの詩。誰の目にも留まらない日常の一場面が、ここでは歴史画のように崇高な瞬間へと変わっている。
もう一つの絵画レビュー:これが本当の赤ずきん
少女は赤い頭巾をかぶり、無表情で立っている。後ろには、ぎゅうぎゅう詰めの羊たち。視線を落としたまま微動だにしない少女からは、なんとも言えない貫禄が漂っている。「今日も100匹まとめてやったわよ」と言わんばかりだ。
普通なら羊に振り回されそうな少女が、逆に群れを完全に支配している。ミレーは「羊界のボス」に君臨する少女を描いた。
空は曇りがちで、夕暮れ前の微妙な光。心をわざとしんみりさせておいて、実際は「羊たちを従えたドヤ顔ヒロイン」を見せている。映画のポスターにしても違和感ない。タイトルは『シェパード・クイーン』だ。
ミレーが描いたのは、羊100匹をまとめるカリスマ。沈黙で世界を制するリーダー。気づけば、観る者の心もこの少女に従っている。
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