
- 英題:Self-portrait with L'Humanité
- 作者:サルヴァドール・ダリ
- 制作:1923年
- 寸法:105 x 75 cm
- 技法:厚紙にテンペラ、油彩、コラージュ
- 所蔵:ダリ劇場美術館(スペイン)
1923年、マドリードの王立サン・フェルナンド美術学校に在学中の19歳のダリが、テンペラと油彩に新聞の切り抜きを貼るコラージュを組み合わせて描いた自画像。画面に見える「L’Humanité(リュマニテ)」はフランスの左派系新聞の題字で、当時のヨーロッパ前衛が愛用した都市の印刷物=現代の視覚ノイズを、自己像へ持ち込んでいる。
人物は作業着のような青い上衣を着て、顔は仮面のように単純化。背景では斜めに傾く紙片や板が幾何学的に重なり、キュビスム的な平面の断片が空間を切り刻む。写実の似姿を追うのではなく、“前衛の符号”で構成する。新聞の断片=メディア、パッケージ=商品文化、角度のついた矩形=キュビスムの語彙。それらを寄せ集め、若いダリは「現代の産物としての自分」を演出している。
この自画像は、のちのシュルレアリスム期の奇想とは異なるが、自己を設計・演出するというダリの本質が現れている。青と黒、エメラルドの抑えた色調は冷静さを、コラージュの異素材は挑発をつくり、「反抗する若者のポートレート」として強い即時性を放つ。切り抜きで自己を組むことで、ダリは“時代の破片でできた自分”を提示した。反抗は、貼りつけで始まる。
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