アートの聖書

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ピカソ《ピッチャーとボウル》〜赤と灰の呼吸、沈黙の設計図

ピカソ《ピッチャーとボウル》

  • 原題:Bols et flacons
  • 別題:Pitcher and Bowls
  • 作者:パブロ・ピカソ
  • 制作:1908年
  • 寸法:66 x 50.5 cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵:エルミタージュ美術館(ロシア)

ピカソが「アフリカ彫刻の時代」に描いた静物画。

この絵には、静物という名の「建築」がある。器たちは、果物や花を盛るためではなく、光と影を支えるためにそこに置かれている。円筒や円錐、台形のフォルムは、陶器の皮膚をまとって並んでいる。

それぞれの器は触れ合いながらも孤立している。距離を置き、互いを映し合っている。影と光が交差するそのわずかな角度に、呼吸がある。赤と茶、灰と黒。色の数は少ないのに、空気は複雑に鳴っている。赤は太陽の温度を吸収し、灰色は土の温もりを呼吸させる。

ピカソは、物体の「存在感」ではなく、「構造感」を描いている。見える世界の奥にある設計図のような静謐。物質と空間のバランスを、ひとつのテーブルの上に凝縮している。人間の手がつくった形が、ここでは宇宙の秩序の一部になっている。

見れば見るほど、器が音を立てずに呼吸し、沈黙の中に、整然としたリズムがある。

この絵の沈黙は、世界をもう一度ゼロから見つめ直す。

アフリカ彫刻時代のピカソの静物画

パブロ・ピカソ《花瓶の花》
  • 英題:Vase of Flowers
  • 作者:パブロ・ピカソ
  • 制作:1907-08年
  • 寸法:92.1 x 73 cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵:ニューヨーク近代美術館(MoMA)

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