
森美術館は2003年10月18日、東京・六本木ヒルズ森タワーの53階に開館した現代美術専門の美術館。地上約230メートルの高さから東京の街を見下ろす絶好のロケーションにあり、展覧会によっては夜景とともにアートを楽しめる。
同じ六本木地区にある国立新美術館、サントリー美術館とともに「六本木アート・トライアングル」を形成し、アート文化の発信拠点として重要な役割を担っている。

原田マハが小説家デビューする前、森美術館の設立準備室にキュレーターとして在籍し、立ち上げに関わった。美術館からの派遣でニューヨーク近代美術館(MoMA)にも勤務し、その体験から『楽園のカンヴァス』や『モダン』などのアート小説を多く生み出した。
森美術館の設計は、ニューヨークのホイットニー美術館や、ベルリンのグッゲンハイム美術館等を設計したリチャード・グラックマン。
六本木ヒルズのガラス張りのモダンな高層ビル群の中に位置することで、現代都市とアートの融合というコンセプトを表している。

最寄駅は六本木駅で日比谷線から直結。東京の都市景観が一望でき、時間帯によっては、夜景と東京タワーのアートを楽しめる。

森美術館は日本の美術館で初めてクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを導入し、写真撮影を許可した先駆的な存在でもある。2009年の「アイ・ウェイウェイ展」では、撮影した写真の非商用利用を認める「CC BY-NC-ND」ライセンスを採用。
美術館という空間を、鑑賞だけでなく「共有する場」へと進化させた。この方針は、のちに国立新美術館や上野の森美術館などの撮影OKに影響を与え、美術館の新しいあり方を切り拓いた。

今となっては珍しくないが、2019年9月の「バスキア展」を訪れたときは、ほとんどの作品が撮影OKで驚いた。森美術館は「アートに触れる」だけでなく、「アートと関わる」ことを促す場でもある。

2014年に上京したばかりの頃、師匠に「感性を磨きたいなら六本木でやっているウォーホル展を観てきなさい」と勧められ、何の予備知識もないまま足を運んだ。あのとき森美術館に行っていなければ、今のようにアートを追いかけていないかもしれない。
常設展示室がない美術館だが、モンドリアンやエッシャーなど、現代アートの企画展が開催されたときに再び訪れたいと願っている美術館である。
森美術館の概要

- 開館:2003年10月18日
- 住所:東京都港区六本木6610−1 六本木ヒルズ森タワー 53階
- 設計:リチャード・グラックマン
- 所蔵:約490点
- 目玉:常設展なし
- 撮影:OK(一部不可)
- メシ:THE SUN & THE MOON
- アクセス:大江戸線「六本木駅」かあ徒歩5分
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