アートの聖書

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パブロ・ピカソ《恋人たち》光に変わる愛、レンブラントへの扉

パブロ・ピカソ《恋人たち》

  • 原題:Les Amoureux
  • 作者:パブロ・ピカソ
  • 制作:1923年
  • 寸法:130.2 x 97.2 cm
  • 技法:油彩
  • 所蔵:ワシントン・ナショナル・ギャラリー

ピカソのNeoclassical Period (新古典主義の時代)を代表する大傑作。デッサンのようであり、水彩画のような淡さも併せ持つ。

色は、呼吸するように画面を満たしている。黄のスカートは陽のぬくもりをたたえ、赤橙の衣は情熱を燃やす。その対極に青の背景が静かに広がり、三角配色の均衡が光と影をつなぎとめる。緑のスカーフは、黄と青のあいだをそっと渡す橋。右側のピンクは赤橙の余韻を引き伸ばし、暖色の領土をひそやかに広げる。

  • 黄(スカート)、赤橙(男性の服)、青(背景左)はほぼ三角配色を形成

  • 緑(スカーフ)は黄と青の中間色として橋渡し役

  • ピンク(背景右)は赤橙と近く、暖色側の面積を増やして温かみを強調

ピカソの色彩は、理論を超えて感情そのものとなる。これにより、安定感と鮮やかさを同時に生む配色になっている。ピカソの天才的な色彩感覚が表れた一枚。

パブロ・ピカソ《恋人たち》

そして、最も引き込まれるのは、その眼差し。男が女へと迫り、女はわずかに顔を背ける。そうも見える。完璧な構図は、必ず危うさを孕む。ピカソはその緊張と緩和を、息をするほど自然に紛れ込ませる。

だが、この絵は決して冷たい駆け引きではない。

男の眼差しは、女の痛みを抱きとめるように柔らかく沈む。流産か、あるいは別の不幸か。その傷を、慈愛が包み込む。

アムステルダム国立美術館の《ユダヤの花嫁》

レンブラント晩年の《ユダヤの花嫁》が深い色で愛を描いたなら、ピカソは明るいパステルで、その愛を光に変えた。ピカソの新古典主義は、レンブラントに迫ることだったのかもしれない。

 

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