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ピカソ《フェルナンド・オリヴィエの肖像》〜薔薇色の時代、太陽の母、沈黙のミューズ

ピカソ《フェルナンド・オリヴィエの肖像》

  • 英題:Porträt von Fernande Olivier
  • 作者:パブロ・ピカソ
  • 制作:1906年
  • 寸法:61×47  cm
  • 技法:紙、グアッシュ、木炭
  • 所蔵:不明

ピカソの「薔薇色の時代」(Rose Period)、最高傑作。

描かれたのはピカソの恋人フェルナンド・オリヴィエで、「薔薇色の時代」(Rose Period)始まりを告げる女性。ピカソは、オリヴィエの絵を60点以上も描いた。

青の時代(ブルー・ピカソ)」の3年間で100点ほどの絵画を残したあと、1904年、ピカソはパリの「洗濯船(バトー・ラヴォワール)」に移る。そこで、フェルナンド・オリヴィエと出逢ったことで徐々に色調が変化し、「バラ色の時代」へ移行する。

フェルナンド・オリヴィエは、1904年から1911年まで、モンマルトルにあった安アパート・洗濯船(バトー・ラヴォワール)で愛犬フリカと共にピカソと同棲。ピカソの無名時代を知っており、「ピカソを出世させた女性」として知られる。

絵画レビュー:ピカソ《フェルナンド・オリヴィエの肖像》

背景も、衣服も、肌もオレンジに染まる。太陽。それも日の出。ライジング・サン。燃えるような夕陽ではない。新しい光が生まれる夜明けの色。「炎」ではなく、「祝福された体温」のオレンジ。ピカソは単色の色彩を恐れない。

差し込まれた一筋のスカーフの白は、余白。光から人間へと変質させる知性の印。ピカソの抑制がきいているからこそ、陽光のような暖かさ、透明感が漂う。

オリヴィエの眼とほほ笑みは、未来を見据えている。「あなたは大丈夫」。言葉を発しなくても、眼と唇が背中を押す。ロゼワインのようにニュートラル。無条件の承認を与える母のような眼。ピカソにとって、女神(ミューズ)ではなく、母のような存在感。

ピカソは描くことで女性を支配するのではなく、色で抱きしめるように描いている。

その他の《フェルナンド・オリヴィエの肖像》

シュテーデル美術館,1909年

シュテーデル美術館,1909年

ニューヨーク近代美術館,1910年

ニューヨーク近代美術館,1910年

ピカソの「薔薇色の時代」(Rose Period)

《俳優》1904年,メトロポリタン美術館

《俳優》1904年,メトロポリタン美術館

バラ色の時代は1904年から1906 年まで続いたピカソの絵画様式。青の時代の冷たく陰鬱な色調とは対照的に、明るいオレンジとピンク色を多用した。

初期の頃には、青の時代の色合いを残したハイブリッドのような作品もある。

バラ色の時代には、道化師、サーカスの芸人、ピエロといった人物が登場し、その後の長いキャリアを通して、様々な場面でピカソの作品に現れる。

《母と子》1905年、個人蔵

《母と子》1905年、個人蔵

ピンクのレースと背景のブルーの対比。「青の時代」とのハイブリッドのような絵画。

《パイプを持つ少年》1905年,個人蔵

《パイプを持つ少年》1905年,個人蔵

暖色の背景と寒色の服装の対比。この頃は青の時代とのハイブリッド。

《ボールに乗る若い曲芸師》1905年,プーシキン美術館

《ボールに乗る若い曲芸師》1905年,プーシキン美術館

《サルタンバンクの家族》1905年,ワシントン・ナショナル・ギャラリー

バラ色の時代に咲く色彩

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