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パブロ・ピカソ《サルタンバンクの家族》〜沈黙の一座、未来を見つめる瞳

パブロ・ピカソ《サルタンバンクの家族》1905年,ワシントン・ナショナル・ギャラリー

  • 英題:Family of Saltimbanques
  • 作者:パブロ・ピカソ
  • 制作:1905年
  • 寸法:212.8 x 229.6 cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵:ワシントン・ナショナル・ギャラリー

ピカソが「バラ色の時代」に描いた一枚。サルタンバンクとは、路上の曲芸師のこと。イタリア語の「saltaré」(跳ぶ)と「banco」(ベンチ、プラットフォーム、ステージ)を組み合わせた言葉である。

絵のモデルは、ピカソが通っていたモンマルトル地区にあるサーカス一団「シルク・ド・メドラノ」のメンバーといわれるが、ハッキリしていない。

《サーカス一家》1905年、ボルチモア美術館

ピカソは、《サルタンバンクの家族》を描くために、習作を残している。

絵画レビュー:パブロ・ピカソ《サルタンバンクの家族》

パブロ・ピカソ《サルタンバンクの家族》1905年,ワシントン・ナショナル・ギャラリー

ワシントン・ナショナル・ギャラリーの展示

荒涼とした砂漠に佇む一座。家族のように寄り添っているのに、誰もが倦怠を浮かべている。ただ一人、一座から距離を置いて座っている女性だけが、顔に生気を宿している。

群れは孤独を救ってくれない。共同体はむしろ孤独を強める。一方の女性には「自立」と「独立」の気配が漂う。

女の瞳は、地平線の彼方を見ている。仲間たちが束縛される仮面と衣装を脱ぎ捨て、
ひとりで歩き出す未来を知っている。

サルタンバンクは社会の外側にいる漂泊者であり、舞台裏にいるときは、ただの人間でしかない。一座の沈黙と空虚は、絵の背景に広がる砂漠と同じ。

その砂漠の中に、確かにひとつの泉がある。

それは、静かに佇む女性の顔に宿る「生きようとする意志」である。ピカソが描きたかったのは、集団という砂漠の中に湧くオアシスである。

 

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