アートの聖書

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クリムト《花咲く庭の草原》〜点描の万華鏡、花のスパンコール

クリムト《花咲く庭の草原》

  • 独題:Blühende Wiese
  • 英題:Landscape Garden (Meadow in Flower)
  • 別題:庭の眺め(牧草地の花)、花咲く草地
  • 作者:グスタフ・クリムト
  • 制作:1906年
  • 寸法:110 × 110 cm
  • 技法:油彩、カンヴァス
  • 所蔵:個人蔵

クリムトが夏を過ごしたオーストリアのザルツカンマーグート地方にあるアッター湖畔の自然を描いた風景画の連作のひとつで、「森のシリーズ」と呼ばれる。

この絵は、2025年11月18日にニューヨークのザザビーズが開催するオークションで、落札価格が8000万ドル~1億ドル(約117億円~146億円)と予想されている。

草むらにダイブする直前の一瞬を、絵にしたらこうなる。それがクリムトの《花咲く草地》。視界いっぱいの点・点・点。小さな絵の具の粒が無数に散り、野の花は宝石のスパンコールみたいにきらめく。人物も金箔も出てこないのに、“装飾の魔術師”クリムトらしさが全開なのがニクいところ。

水平線をほぼ見せず、画面を草花でびっしり埋める構図は、風景画というより“草原テクスチャ”。奥の木立がゆるく道筋をつくり、視線はふわっと奥へ吸い込まれるのに、表面はパターンとして平らに感じられる。この「奥行きがあるのに平たい」二重奏が気持ちいい。印象派の点描を思わせる細かな筆触は、黄金期のモザイク感覚と地続きで、自然そのものを“飾る”。

夏のアッター湖畔での制作期らしく、都会のざわめきから脱出して、ひたすら色とリズムで自然を編む。色相は黄緑〜青緑を土台に、黄・赤・紫がリズミカルに跳ね、絵全体がそよ風みたいに揺れる。近づけば抽象、離れれば花畑。鑑賞距離で表情が変わる“二段変形”も楽しい。

風景を「説明」するのではなく、野原に寝転んだときの体感を「再現」してくれる。美術館で前に立ったら、まずは半歩近づいて点のきらめきに浸り、次に二歩下がって草の海に泳いでみたい。クリムトが用意した、音のない花火大会が始まる。

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