
- 原題:Annunciazione(イタリア語)
- 作者:フラ・アンジェリコ
- 制作:1425-1428年頃
- 寸法:154 cm × 194 cm
- 技法:板、テンペラ、金
- 所蔵:プラド美術館(スペイン)
名だたる画家が描いてきた《受胎告知》の最高傑作。1611年までフィレンツェのサン・ドメニコ修道院に置かれていたが、現在はスペインのプラド美術館に所蔵されている。
「受胎告知」とは、新約聖書において、天使ガブリエルが聖母マリアに、神の子イエスを身ごもることを告げる場面。《受胎告知》に関しては、ほぼ同時代に描かれたヤン・ファン・エイクも遠く及ばない。
アンジェリコは《受胎告知》において、天使の翼を建物の枠からはみ出して描くことで、スケールの大きさを強調している。マリア様の部屋の扉を省くことで、奥行きと空間の広がりを生み出している。
色彩設計も見事。マリア様と天使はピンクの衣をまとい、天井の青と補色関係をなして、互いの存在を際立たせている。マリア様の背後の壁と天使の翼が同じ茶色で描かれており、ふたりを一対の主役として際立たせる構図になっている。金色の髪と、差し込む光が調和し、神聖な祝福のイメージを強調。
まだある。天使・マリア様・天井のアーチの3つでハート型ができる。マリア様の妊娠を、愛と祝福で包み込んでいる。
左側には、不要なアダムとイヴが描かれている。部屋から外へ追い出す構図になっており、「原罪をもたらした存在」に人類の始祖に対し、「救世主を生む」マリア様の崇高さを讃えている。
宗教に関心があるかどうかに関係なく、あらゆる観点から見て、この作品は完璧に構成された、歴史的傑作である。
宗教色は関係ない。すべてが計算され尽くした、歴史に残る大傑作の絵画。
画家たちの《受胎告知》
ヤン・ファン・エイク

史上最高の画家の一人であり、油絵の始祖ヤン・ファン・エイク。天使もマリア様もほぼ同じ構図で描く。羽が虹色。天使の口から「アヴェ・マリア」の歌詞が出ている。マリア様のセリフは上下逆さ。告知(天使)受容(マリア)の異時同図法で描かれたもの。赤と青の服で対比をつけている。背後には聖霊の象徴である鳩が飛んでいる。
レオナルド・ダ・ヴィンチ

レオのデビュー作。ただし、師匠のヴェロッキオ工房との合作で、すべてをレオ一人で描いていない。
サンドロ・ボッティチェッリ

《ヴィーナスの誕生》で有名なボッティチェッリの作品。アクション映画のようにオーバーアクション。
エル・グレコ

ギリシアの巨匠エル・グレコの受胎告知。岡山の大原美術館にある。
グレコの受胎告知の天使は徐々に下がってきて、最後は地面に足がつく。
カラヴァッジオ

38歳で亡くなる2年前に描いた晩年作。天使の顔を見せず、ドラマチックに描いている。
山田画廊が解説する受胎告知
聖書の4つの福音書のなかで受胎告知が出てくるのは、ルカだけ。マタイの福音書では、マリア様ではなく、父親のヨセフに告げる。父に告げるほうが筋が通っている。
天使は百合の花を持っていることが多い。純潔の象徴として。マリア様は編み物をしている場面や読書をしている場面など描かれる。フラ・アンジェリコの天使は手ぶら。
フィレンツェ派の画家が受胎告知を描くときは、天使がひざまずいている。その流れを作ったのがジョット。ヴェネツィア派の天使は躍動的に描かれる。
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