アートの聖書

美術館巡りの日々を告白。美術より美術館のファン。

スペイン

ピカソ「バラ色の時代」の代表作、希望の温度、人間を抱きしめた季節

《猿を連れた曲芸師の家族》1905年、ヨーテボリ美術館 1904年から1906年頃のピカソの作品はピンク色を多用し、「バラ色の時代」と呼ばれる。赤やピンク、オレンジ、アースカラーなどを使って、明るい色彩でピエロやサーカスの団員などを多く描いていることか…

ピカソ《ゲルニカ》〜芸術という名のパンドラの箱、モノクロームの破壊、未来への助走

原題:Guernica 作者:パブロ・ピカソ 制作:1937年 寸法:349.3 cm × 776.6 cm 技法:油彩,カンヴァス 所蔵:ソフィア王妃芸術センター(スペイン) 《アヴィニョンの娘たち》から30年後、ピカソが放った衝撃の巨大絵画。パリ万博のスペイン館に展示する絵…

パブロ・ピカソ《パイプを持つ少年》〜路地裏の少年に宿る花と孤独の祝祭

原題:Garçon à la pipe 英題:Boy with a Pipe 作者:パブロ・ピカソ 制作:1905年 寸法:100 cm × 81.3 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:個人蔵 ピカソ24歳、バラ色の時代に制作された一枚。左手にパイプを持ち、頭に花輪を戴いたパリの少年を描き、両側…

パブロ・ピカソ《アルルカンの死(ハーレクインの死)》〜西洋に宿る般若心経の宇宙

英題:La Mort d'Arlequin (Death of Harlequin) 作者:パブロ・ピカソ 制作:1906年 寸法:68.5 × 96 cm 技法:板にガッシュと鉛筆 所蔵:個人蔵 ピカソが「バラ色の時代」の後期に描いた作品で、この時期に繰り返し取り上げた主題のひとつである。アルル…

ピカソ《母と子、曲芸師》〜沈黙の中の愛、そっぽを向いた絆

原題:Les Baladins 英題:Mother and child 作者:パブロ・ピカソ 制作:1905年 寸法:90 x 71 cm 技法:グアッシュ(水彩)、カンヴァス 所蔵:シュトゥットガルト州立美術館(ドイツ) ピカソが「バラ色の時代」に描いた母子画の傑作。フランス語の題名「…

パブロ・ピカソ《玉乗りの曲芸師》砂漠に響く二つの重力、重さと軽さのはざまで

英題:ACROBAT ON A BALL 別題:ボールに乗る若い曲芸師 作者:パブロ・ピカソ 制作:1905年 寸法:147 x 95 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:プーシキン美術館(ロシア) ピカソが「バラ色の時代」に描いた一枚。1904年以降、ピカソはモンマルトルのバトー…

パブロ・ピカソ《サルタンバンクの家族》〜沈黙の一座、未来を見つめる瞳

英題:Family of Saltimbanques 作者:パブロ・ピカソ 制作:1905年 寸法:212.8 x 229.6 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ワシントン・ナショナル・ギャラリー ピカソが「バラ色の時代」に描いた一枚。サルタンバンクとは、路上の曲芸師のこと。イタリア語…

ダリ《グレート・マスターベーター》快楽の影にひそむ余白

英題:The Great Masturbator 別題:偉大なる自慰者、大自慰者 作者:サルヴァドール・ダリ 制作:1929年 寸法:110 cm × 150 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ソフィア王妃芸術センター(スペイン) 青空と荒野を背景に、巨大で歪んだ横顔が横たわり、その…

ゴヤ《ボルドーのミルク売り娘》存在の黄昏に宿る黎明

原題:La lechera de Burdeos(スペイン語) 英題:The Milkmaid of Bordeaux 作者:フランシスコ・デ・ゴヤ 制作:1827年頃 寸法:74 cm × 68 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:プラド美術館(スペイン) 《ボルドーのミルク売り娘》は、スペインのフランシ…

ゴヤ《わたしはまだ学ぶ》終焉を突き破る意志、創造の炎は滅びず

原題:Aun Aprendo(スペイン語) 英題:I Am Still Learning 作者:フランシスコ・デ・ゴヤ 制作:1826年頃 寸法:19.2 x 14.5 cm 技法:黒鉛筆、リトグラフ鉛筆、灰色の紙 所蔵:プラド美術館(スペイン) 1825年から28年頃に制作されたこの素描は、80歳前…

ダリ《ラファエロの聖母の最高速度》回転する聖性の断片

英題:The Maximum Speed Of Raphael's Madonna 作者:サルヴァドール・ダリ 制作:1954年 寸法:81.0cm x 66.0cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ソフィア王妃芸術センター(スペイン) 量子物理学と原子核物理学に抱いていたダリが、ラファエロの聖母をその…

ダリ《キュビスム風の自画像》断片の迷宮に潜む若き天才

英題:Cubist-Self-Portrait 作者:サルヴァドール・ダリ 制作:1923年 寸法:104 x 75 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ソフィア王妃芸術センター(スペイン) ダリが19歳の頃に描いた自画像。 1923年から1928年にかけて、ダリの画風はキュビスムの時代に…

ダリ《ラファエロ風の首をした自画像》運命を覗く十七歳の地図

英題:Self-Portrait with Raphaelesque Neck 作者:サルヴァドール・ダリ 制作:1921年 寸法:40.5 x 53 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ガラ=サルバドール・ダリ財団 この作品は、ダリが17歳の頃、マドリードの王立フェルナンド芸術アカデミーに入学する…

ピカソ《水差しとリンゴのある静物画》〜沈黙の中の優雅、果実と器の対話

英題:Still life with pitcher and apples 作者:パブロ・ピカソ 制作:1919年 寸法:65 x 43 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ピカソ美術館(パリ) ピカソが「新古典主義の時代」に描いた静物画。ピッチャーの上には、丸いリンゴが載った皿が置かれ、皿…

ピカソ《眠る農民》、愛の余韻を抱く大地、麦わらの眠り

原題:Sleeping Peasants 別題:眠れる農民たち 作者:パブロ・ピカソ 制作:1919年 寸法:31.1 x 48.9 cm 技法:紙にグアッシュ、水彩、鉛筆 所蔵:ニューヨーク近代美術館 ピカソが「新古典主義の時代」に描いた一枚。 女性の肌は人間味を超えて白く輝き、…

ダリ《焼いたベーコンのある柔らかい自画像》〜仮面なきファントム、松葉杖のオペラ

英題:Soft Self-Portrait with Fried Bacon 作者:サルヴァドール・ダリ 制作:1941年 寸法:61cm × 51 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ガラ=サルバドール・ダリ財団 台座に「SOFT SELF PORTRAIT」と書かれ、ダリの朝食だったベーコンが置かれている。シ…

ピカソ新古典主義の時代|キュビズムとシュルレアリスムの狭間に生まれた古典回帰

ピカソ《足を乾かす裸婦》1921年、ベルクグリューン美術館 パブロ・ピカソの画業の中で「新古典主義の時代(Neoclassical period)」と呼ばれる時期は、1918年から1924年頃にかけて続いた。キュビズムによって形態を徹底的に分解したピカソが、第一次世界大…

ピカソ『青の時代』〜静寂の深海に潜む光、ブルー・ピカソが描いた青の宇宙

10万点を超える芸術作品を生み出したパブロ・ピカソの絵画のなかで「最も美しいページ」と称されるのが「青の時代」、いわゆる「ブルー・ピカソ」である。 ピカソの「青の時代」は、「ブルー・ピリオド」または「ブルー・ピカソ」とも呼ばれ、1901年から1904…

パブロ・ピカソ《悲劇》青の時代に描かれた母なる照明

原題:The Tragedy 別題:海辺の貧しい家族 作者:パブロ・ピカソ 制作:1903年 寸法:105.3 x 69 cm 技法:油彩、板 所蔵:ワシントン・ナショナル・ギャラリー ピカソが1901年から1904年までの時代に描いた「青の時代(ブルー・ピカソ)」の題材を象徴する…

パブロ・ピカソ《人生》〜過去は影、今は決意、傷の上に立つ存在

原題:La Vie 作者:パブロ・ピカソ 制作:1903年 寸法:196.5 x 129.2 cm 技法;油彩、カンヴァス 所蔵:クリーブランド美術館(アメリカ) 「青の時代」で最も有名な一枚。画面左に描かれているのは、ピカソの親友カルロス・カサジェマス、その恋人のジェ…

パブロ・ピカソ《自画像(青の時代)》夜の海を渡る瞳、沈黙の青、歩みの青

原題:Autoportrait 作者:パブロ・ピカソ 制作:1901年 寸法:81 x 61 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ピカソ美術館(パリ) 青の静寂に包まれた、20歳前後のパブロ・ピカソの自画像。こけた頬に無精ひげ。青の時代の始まりを告げる一枚。 1901年から1904…

パブロ・ピカソ《盲人の食事》見えない世界を掴む手、触覚で食べる

英題:The Blind Man's Meal 作者:パブロ・ピカソ 制作:1903年 寸法:95.3 x 94.6 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:メトロポリタン美術館(ニューヨーク) ピカソ22歳、パリで画業を始めて3年に描いた「青の時代(ブルー・ピカソ)」の作品。友人であるフ…

パブロ・ピカソ《恋人たち》光に変わる愛、レンブラントへの扉

原題:Les Amoureux 作者:パブロ・ピカソ 制作:1923年 寸法:130.2 x 97.2 cm 技法:油彩 所蔵:ワシントン・ナショナル・ギャラリー ピカソのNeoclassical Period (新古典主義の時代)を代表する大傑作。デッサンのようであり、水彩画のような淡さも併せ…

ダリ《記憶の固執》〜融けゆく瞬間、芽吹く存在、流転する非停止の美学

原題:La persistencia de la memoria 英題:The Persistence of Memory 作者:サルヴァドール・ダリ 制作:1931年 寸法:24.1 cm × 33.0 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ニューヨーク近代美術館(MoMA) 《記憶の固執》は、シュルレアリスム絵画を語ると…

ダリ《音楽:セブン・ライブリー・アーツ》〜砂漠に響く、触れぬ旋律、紅い幕の向こうの調べ

英題:Music. The Seven Lively Arts 元題:The Seven Lively Arts. Art of the Concert 作者:サルヴァドール・ダリ 制作:1957年 寸法:84 x 115.5 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:個人蔵(デビッド・ナーマド) 7つの芸術(ブギウギ、オペラ、バレエ、…

ダリ《ダンス:セブン・ライブリー・アーツより》〜荒野に刻まれた愛と執着の聖域

英題:The Dance: The Seven Lively Arts 作者:サルヴァドール・ダリ 制作:1957年 寸法:84.0×116.3cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:諸橋近代美術館(福島) 1944年、ニューヨークのジーグフェルド劇場に飾られた7つの連作のひとつで、演劇「セブン・ライ…

パブロ・ピカソの代表作・有名絵画の傑作選〜20世紀のアートを変えた革命家

パブロ・ピカソ(1881–1973)は、スペインが生んだ20世紀最大の芸術家にして、美術の歴史を塗り替えた革命家。 青の時代、バラ色の時代、キュビスム、新古典主義、シュルレアリスム。 そのどれにも囚われることなく、あらゆる表現を行き来しながら、新たなア…

ピカソ《夢》〜紫の静寂に宿るもの、六本目の指と、見えない命

原題:Le Rêve(The Dream in French) 作者:パブロ・ピカソ 制作:1932年 寸法:130×97cm 技法:油彩 所蔵:個人蔵 ピカソが50歳前後、「シュルレアリスムの時代」に描いた一枚。モデルは22歳の愛人マリー=テレーズ・ワルテールといわれる。多くの美術史…

パブロ・ピカソ《座るアルルカン》〜道化師のソネット、素顔の沈黙、仮面の下の誇り

英題:Seated Harlequin 別題:座る道化師 作者:パブロ・ピカソ 制作:1923年 寸法:130.2 cm × 97.1 cm 技法:カンヴァス、油彩 所蔵:バーゼル美術館(スイス) ピカソの「新古典主義の時代」、後期の傑作。 誰もが抱える「仮面を外した自分」、その美し…

パブロ・ピカソ《海辺を走る二人の女(駆けっこ)》〜祝福の風にのって、未来へ跳ねる

原題:Deux femmes courant sur la plage (La course) 英題:Two Women Running on the Beach 邦題:浜辺を走る女、浜辺を駆ける二人の女性 作者:パブロ・ピカソ 制作:1922年 寸法:32 x 41 cm 技法:合板、グアッシュ 所蔵:パリ国立ピカソ美術館(フラン…