アートの聖書

美術館巡りの日々を告白。美術より美術館のファン。

ゴッホ

ゴッホのパリ時代〜浮世絵、印象派との出会いと画風の変化

ゴッホの画風、色彩が大きく変化するのがパリ時代である。ゴッホは1886年3月1日、夜行列車に乗ってテオのもとへ向かった。勝手にアパートに転がり込み、モンマルトルにあるフェルナン・コルモンの画塾に通う。 テオの紹介でゴーギャン、ロートレック、シニャ…

《アルルの寝室》ゴッホの眠れぬ夢の部屋、記憶の中のオモチャ箱

原題:La Chambre à Arles(フランス語) 蘭題:Slaapkamer te Arles 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 別題:ファン・ゴッホの寝室、ゴッホの寝室、アルルの部屋 制作:1888年10月 寸法:72 cm × 90 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ゴッホ美術館(オラ…

《ゴッホの椅子》〜不在を描いた肖像、誰も座らぬ椅子に、画家は生きている

原題:Van Gogh's Chair(英語) 別題:ファン・ゴッホの椅子 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年11月 寸法:92 cm × 73 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ロンドン・ナショナル・ギャラリー ゴッホが1888年11月に南仏アルルで描いた「不在の…

ゴッホ《黄色い家》〜陽だまりに立つ孤独、夢は地面からはじまる

原題:The Street(The Yellow House) 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年9月 寸法:76 cm × 94 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) 「黄色い家」として親しまれている代表作。ただし、ゴッホ自身はタイトルを「The S…

ゴッホ《タンギー爺さん》背景に魂を、麦わら帽に祈りを

原題:Le Père Tanguy(フランス語) 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1887年夏(パリ時代) 寸法:92 cm × 75 cm 所蔵:ロダン美術館(フランス) 世界で最も有名な「おじいさん」の肖像画。誰も会ったことがないのに、誰もが親しみを持つ。テオ…

「ゴッホと浮世絵」〜《梅の開花》《花魁》、ジャポニスムが生んだ色彩革命

林忠正編『パリ・イリュストレ』誌「特集:日本」1886年5月号 19世紀後半のヨーロッパでは、開国したばかりの日本から流入した浮世絵が強烈な衝撃を与え、「ジャポニスム」と呼ばれる熱狂を巻き起こした。印象派の巨匠たちもその影響を受けたが、誰よりも深…

ゴッホ《種まく人》誰のためでもない種、“開拓者”の肖像

英題:The Sower 別題:太陽と種まく人 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年6月 寸法:64.2 × 80.3 cm 所蔵:クレラー・ミュラー美術館(オランダ) ゴッホがアルルに到着した年の初夏、「黄色の時代」に描かれた一枚。大尊敬していたジャン=…

《ひまわり》ゴッホの魂の収穫、花瓶に生けられた孤独の照明

原題:Les Tournesols(フランス語) 蘭題:Zonnebloemen 英題:Sunflowers 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年11月-12月 寸法:100.5×76.5 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:SOMPO美術館 ゴッホは太陽(希望)を追い続けた。ひまわりは、ゴッホ…

ゴッホ《星月夜》〜再誕への黙示録、夜空に撃たれた祈り

蘭題:De sterrennacht 仏題:La nuit étoilée 英題:The starry night 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1889年6月 寸法:73.7 cm × 92.1 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ニューヨーク近代美術館 1889年6月、フランスのサン=レミ=ド=プロヴァ…

《ローヌ川の星月夜》ゴッホのムーンパレス、天国への階段、星降るジムノペディ

仏題:La Nuit étoilée 英題:Starry Night Over the Rhône 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年9月 寸法:73cm×92cm 所蔵:オルセー美術館(フランス) 左岸に広がる夜のアルルの風景。ゴッホが黒を使わずに、青とすみれ色で描いた一枚。星は…

ゴッホのベルギー時代(アントウェルペン)の傑作絵画〜放浪者、初めて学ぶ、美術学校の冬

ゴッホはわずか37年の生涯で800点以上の絵画を残し、その間に37回もの引っ越しを繰り返したといわれている。まさに風来坊、異邦人、ヴァガボンド(放浪者)としての画業だった。出会う人々や景色に触れるたびに、その画風も大きく変化し、オランダ、ベルギー…

ゴッホのオランダ時代〜エッテン/ハーグ/ニュネン、色彩の源流は故郷にあり

ゴッホはわずか37年の生涯で800点以上の絵画を残し、その間に37回もの引っ越しを繰り返したといわれている。まさに風来坊、異邦人、ヴァガボンド(放浪者)としての画業だった。出会う人々や景色に触れるたびに、その画風も大きく変化し、オランダ、ベルギー…

ゴッホ《ガシェ医師の肖像》〜最期の伴走者、魂を診る者、魂を描かれた者

原題:Le Docteur Paul Gachet 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1890年6月 寸法:68.2 x 57.0 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:オルセー美術館(パリ) 《ガシェ医師の肖像》は、「鬱の研究」で博士号を取得し、芸術家たちの庇護者でもあった精神…

ゴッホ《イーゼルの前の自画像》〜未来を見つめる眼、眼で旅をする画家

英題:Self-Portrait as a Painter 別題:画架の前の自画像、画家としての自画像 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1​​887年12月 - 1888年2月 寸法:65x51cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) アルルに旅立つ前、パリで描い…

ゴッホ《渓谷》魂の鏡、険しさの果てにあるもの

原題:Les Peiroulets 英題:The Ravine of the Peyroulets 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1889年 寸法:73 x 91.7 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ボストン美術館(アメリカ) ゴッホはサン=レミの精神病院のとき、散歩に出かけて自然を満喫…

ゴッホ《赤い葡萄畑》夕暮れに咲いた炎の交響曲

原題:La Vigne rouge 英題:The Red Vineyard 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年11月 寸法:75 cm × 93 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:プーシキン美術館(モスクワ) アルル時代に夕暮れの葡萄畑で農作業をする様子を描いた一枚。ゴッホ…

ゴッホ《夜のカフェ》〜孤独の酒場、堕ちゆく夜、ゴッホが見た赤と緑の牢獄

原題:Le Café de nuit 英題:The Night Cafe 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年9月 寸法:72.4 cm × 92.1 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:イェール大学美術館(アメリカ) アルル時代にゴッホが描いた一枚。現在は、アメリカ・コネチカッ…

ゴッホ《タバコをくわえた頭蓋骨》虚無に灯るアンニュイの炎

英題:Head of a Skeleton with a Burning Cigarette 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1886年1月-2月 寸法:32.3 cm x 24.8 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ゴッホ美術館 アントウェルペン(ベルギー)時代の作品。10月にアムステルダム国立美術…

ゴッホ《タラスコンへの道を行く画家》陽光に歌う青いシルエット、地平線が微笑む日

英題:The artist on the road to Tarascon 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年7月 寸法:48 x 44cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:カイザー=フリードリヒ博物館(消失) アルル時代にゴッホが描いた異色の自画像。上半身ではなく、全身の自画…

ゴッホ《ズアーブ兵》〜軍服の下のやさしさ、炎と緑の肖像

原題:Le Zouave (half-figure) 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1888年6月 寸法:65.8 cm x 55.7 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) 1888年にゴッホがアルルを訪れたときに知り合ったズアーブ兵を描いたもの。「ズアーブ…

《モンマルトルの菜園》〜ゴッホの風車と郷愁の丘、遠いオランダ

英題:Vegetable Gardens In Montmartre 別題:モンマルトルの野菜園 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1887年3月-4月 技法:油彩、カンヴァス 寸法:113.5x146 cm 所蔵:アムステルダム市立美術館 ゴッホの全作品の中で最も大きなサイズの絵画。…

ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢〜ファミリーの熱気が日本を包む

2025年は“ゴッホイヤー”。国内で3つの大型展覧会が開催され、見逃せない一年になる。令和7年はゴッホの熱気が日本を包む。 その口火を切るのが、5月31日から箱根のポーラ美術館で半年間にわたって開催されている『ゴッホ・インパクト』 トリを飾るのが9月20…

『ゴッホ・インパクト』ポーラ美術館の箱根アート駅伝

箱根のポーラ美術館が初となるゴッホの企画展を開催。名は『ゴッホ・インパクト―生成する情熱』。会期は2025年5月31日~11月30日(会期中無休)。半年間に及ぶ長距離走。 ゴッホ自身の作品は少ない。7月の大阪、9月の神戸のように、オランダの美術館の全面協…

ポーラ美術館〜箱根の静謐なる美の森とスイーツ

「モネが好きなら行ったほうがいいっすよ。たまに俺も行くんすよ」 そんな会話を会社の上司としてから美術館を訪れるのに6年かかってしまった。 約1万点に及ぶ所蔵作品のクオリティは、神奈川の中心・横浜美術館を遥かに凌ぎ、東京の美術館と肩を並べる。 野…

ゴッホ:孤独の花束、魂が咲いた花の絵画たち

ゴッホの最も有名な絵画、ゴッホの最高傑作、どちらも花の絵画である。花の絵が静物画の主題になってくるのは、17世紀オランダ黄金時代の絵画から。ゴッホはオランダ人としての遺伝子を受け継いだ。 ゴッホは生涯で花の静物画(花瓶に生けられた花)を約40枚…

《黒い鳥のいる麦畑》ゴッホが見た永遠の地平、麦畑に託された輪廻の光

仏題:Champ de blé aux corbeaux 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 別題:カラスの群れ飛ぶ麦畑 制作:1890年7月 寸法:50 cm × 103 cm 所蔵:ゴッホ美術館(オランダ) ゴッホで最も有名な一枚。理由は絶筆と誤解されているから。1908年のドイツでのゴ…

ゴッホ《アザミの花》世界一やさしい刃、緑の遺言、棘に託したもの

英題:Flower Vase with Thistles 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1890年6月 寸法:40.8 x 33.6 cm 技法:油彩、カンヴァス 所蔵:ポーラ美術館 ゴッホは亡くなる前月、6月16日または17日にオーヴェール=シュル=オワーズのガシェ医師の家で数枚の…

ゴッホ《オーヴェルの教会》夢と性の断層線、男の終焉と女の背中

仏題:L'église d'Auvers-sur-Oise 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1890年6月 寸法:74 cm × 94 cm 技法:油彩 所蔵:オルセー美術館(フランス) ピーテル・ブリューゲル《バベルの塔》に次ぐ、建物を描いた絵画として有名な一枚。ホラー映画の…

『ゴッホと静物画』SOMPO美術館、画布に咲いた人生、弟テオへのラブレター

">新宿に住んでいると石を投げれば人にあたり、映画館も美術館もごった返している。日本は映画ブーム、美術ブームと錯覚する。たった一街の熱狂、24h流行しかない街。 ">他の地域と乖離しすぎている新宿はコンクリートの村。大都会の田舎である。ゴッホ展に…

ゴッホ《種をつけた4本のヒマワリ》〜パリ時代の向日葵、炎の種子たち、ひまわりは一日して咲かず

原題:Four Sunflowers Gone to Seed 作者:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 制作:1887年8月-10月 寸法:59.5×99.5cm 所蔵:クレラー・ミュラー美術館(オランダ) ゴッホは大傑作を生み出す前に、その着火剤となる傑作を描いていることが多い。 《星月夜》が…